『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 脳卒中による片麻痺をもつ方のROM訓練から考える その3

<<   作成日時 : 2007/11/03 17:14   >>

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関節に対して回旋の動きを完全他動でおこなうと、筋緊張が緩和しやすい。

そして、1度、筋緊張の緩和が得られると
その次からは、もっと容易に短時間で緩和します。
脳の損傷部位や理由に関係なく、何人もの方で体験していることです。

つまり、脳の中で「リラックスする」という「回路」ができたんだろうな
…と思うのです。

当たり前のことなのに、
しばしば、療法士が忘れていることがあります。

脳卒中でおこる障害は
脳の回路の機能不全でおきたことだから
手足が問題でおきていることではない。
何のために手足を動かしているのか
それは、手足を動かす…という感覚の入力と運動の出力の双方向の刺激によって
脳の中に代替する新しい回路を形成するためにおこなっているんだということです。

このことの意味を療法士が理解できていれば
「痛いからもうやめて」と当事者の方が言っても
「痛くても我慢しなくちゃ硬くなっちゃいますよ」と言って続けたり
ネコ撫で声で「もうちょっとですからねぇ」と言って続けるようなことは
できなくなる。そう思います。

突っ込んで考えてみると
無理矢理に「ちからわざ」を使ってROM訓練をおこなう場合には
利用者さんは次のような体験をしています。

手を伸ばされる→手は伸びる→痛くてたまらない
手を離される→手は曲がる→痛みがなくなってほっとする

療法士に伸ばしてもらわないかぎり手は伸びない
伸ばしてもらうとその時だけは伸びるが
痛くて不快な感情がつきまとう

…ということを脳の中で、繰り返し体験、再学習していることになります。
しかも、本当のところでは
「やらないほうが、手は曲がっていたほうが、快の感情が生じる」
ということになります。

…これじゃあ良くなるはずがないと思いませんか?

何かの拍子でリハビリをしばらく休んだりすると
手は、とたんに硬くなります。
現実に起こっていることそのままの再現です。
再学習の成果です(苦笑)

それなのに
「だからリハビリやらないとだめだって言ったでしょう」と療法士は言うのです。

一見、表面的にはその通りですから
療法士が自分の誤解に自分でダマされているように
利用者さんもダマされてしまいがちです。

ですが、現実に本当に起こっていることは違うのです。
一部の療法士がそう「させている」だけなのです。

手を動かされる→手の緊張が緩む→手が自然に伸びる→気持ちいい
手を離される→手は伸びている→気持ちいい

このような体験は可能です。

可能でないときには
自分と利用者の方のお身体とのあいだで
コミュニケーションの機能不全がおきているからです。

触れている手の感触が伝えてくる
お身体の状態を理解できない
手を通してお身体にはたらきかけていない

身体を通したコミュニケーションが機能すれば
双方向に変わってきます。
利用者さんのお身体も変わるし
こちらも明敏であろうと変わってきます。



…欲を言えば
…できれば
利用者さんご自身がなにかすることで

手を動かす→手の緊張が緩む→手が自然に伸びる→気持ちいい
手を動かすのをやめる→手は伸びている→気持ちいい

…という体験ができれば一番のROM訓練になると考えています。








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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
忙しくしていたので、「ROM訓練」・「認知症」に関するシリーズをまとめて読ませていただきました。
わたしは自閉症の大人の方を毎日支援しているので、ここに書かれた身体を通したコミュニケーションということも日々体験しています。
脳機能の器質的障害から起きる自閉症も、ややもすると問題行動ばかりを注目してしまいがちです。
利用者さんが「快い」と感じる脳のつながりをたくさん増やして行けたらと思います。(もちろん、社会的にも受け入れられることでなければなりませんが)
Heart さん
2007/11/23 16:21
Heart さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

身体を通したコミュニケーション。
利用者さんのお身体と私たちとの…だけでなく
利用者さんのお身体と利用者さん自身とのコミュニケーション。
これもとても意味のあることだと考えています。

それなのに
一部の療法士によって
そうと知らされずに分断されてしまうことの多さ。

speranza
2007/11/23 21:20

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