『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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<<   作成日時 : 2008/06/25 23:08   >>

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全老健全国大会で発表してきます。

私は過去に、OT学会でも全老健全国大会でも
今まで何度か発表してきました。
でも、それらは誰かに強制されたものではないです。
自分の中に内発的にテーマが湧かない時でも
発表をしなければならないような職場では働いたことがないのも私にとっては幸運でした。

最初は「レベル別」(!)レクへの反発
次に「積極的活動=認知症進行予防」にはつながらないことの証明
認知症予防の具体的展開について
そして、今年は介護予防

いずれも
昨今の風潮は本当に適切なのでしょうか?
私にはそうは思えない
こんな現実がありますが、どう思いますか?
私はこんなふうに考えておこなっています。
という問いかけと提案です。

常識や思い込み、他人の意見といったものに流されて
目の前の現実に起こっていることを見ようとすらしないという現実。

きっとどこの世界でもあることなのだろうと思う。
だって、どんな世界だって1人1人の人間から成り立っているんだもの。
そして、まっすぐに見る人って本当に本当に少ないんだもの。

「体験や経験を信じないんですな。
本に書かれていることや論文のほうを目の前にあるものより大事にするんですな。
学者たちと長ごうつきあいましたけど、関心せん世界やと思いましたな。
しかし、なかにはよく私らの話を聞いてくれる学者もおりましたし、
自分の学説にしばられん人たちもおりました。
そうした学者は本当の研究者やなと思いましたものな。」
宮大工の西岡常一さんの言葉です。
(「木のいのち木のこころ」新潮文庫より)

積極的にただ活動に励むだけじゃ認知症の進行予防はできないって発表をした時にも
ある人から「OTがそんなこと言っちゃダメだよ」って言われたことがありました(苦笑)
しかもその人は説得力のある論文を書く人だったので余計にメゲた…。
直後にある出版者の人から学会感想記を書くように依頼され
友人から「それは認められたってことだよ」と励まされましたっけ(苦笑)

ある日、職場に面識のない方から電話があり
全老健全国大会の抄録をみて話を聞きたいとのことでした。
すごくうれしかったです。
発表したときには何の質問もなかったけど
(すっごいショックでした)
たった1人でも現状と問題意識を共有できたことがすごくうれしかった…。

HDS−R29点でかなひろいテストが得点4だったという方がいます。
HDS−R26点でかなひろいテストの得点3という方もいました。
(この方は専門医から認知症の確定診断を受けていました。)
この「現実」をどう思われますか?
私は、あるかもしれないと思っていた「現実」に
実際に遭遇したときには本当にびっくりしました。

今年の発表のテーマは
運動器の機能向上サービスの目的として
観点が身体面に偏りがちなために弊害があるということと
運動器の機能向上サービスの方法論として、筋力強化に偏りがちな現状が適切なのだろうか
という問題提起です。
(この点についてはあらためて記事にしていきます)

介護予防というと
多くの施設で筋力強化をおこなっていると思います。
もちろん私も取り入れてはいます。
ですが、筋力強化だけしていても良くならない。
もっと大切なことがあると考えています。

体力測定がなかなか改善しない…という他施設の職員の声もよく聞きますが
当施設では、体力測定の結果も目標達成も参加者の多くで向上しています。
週1回ご利用の94歳の女性の方で、実質2ヶ月で体力測定が著明に向上した…という方もいます。
もちろん、低下してしまう方もいます。
認知症が進行してしまったり、ガンや呼吸不全などの身体疾患が増悪してしまった方です。
余談ですが、1度向上したのにさしたる理由もなく段々はっきりと低下するという方の場合
実はガンだった…という例を複数経験しています。

また要支援1や2と認定された方に
認知症自立度UやVに該当する方が多くいるという現実。
以前の記事にも書きましたが
http://yoshiemon.at.webry.info/200610/article_6.html
http://yoshiemon.at.webry.info/200707/article_22.html
身体的な能力が一時的に上がっても
認知症の進行により「運動」を「動作」として発揮できずに
ADLが低下し、介護度も要介護になってしまう…という方が何人もいらっしゃいます。

発表の後にいろんな人と話ができればうれしい。

「全体像の把握が大切」
この言葉の大切さを否定する人はいないと思う。
でも、じゃあ、運動器の機能向上サービスにおいてこの言葉をどのように実現していくか
みんな、どんな工夫をしているのだろう?
具体的に、現実的に、話ができればうれしいな。

「筋力強化信仰」疑問論(苦笑)
この考えは今の日本のリハの中ではきっと少数派。
異端とさえいえるかもしれない(苦笑)

過去の記事にも
おそらく異端的な記事を書いてきましたが(苦笑)
「入院すると認知症状がひどくなる」
http://yoshiemon.at.webry.info/200509/article_22.html
「現実におきていることは、真実を伝えている」
http://yoshiemon.at.webry.info/200711/article_2.html

弁解するわけじゃありませんが
私はあまのじゃくではありません(苦笑)
目の前に起きていることをそのまま考えてるだけなんです。
ただ、しつっこいかもしれない(苦笑)
疑問に思ったことは忘れないから。
でも、5年も10年もしてから答えが浮かび上がってくることもあるんです。
筋力強化信仰疑問論もその1つです。

それにしたって
私が感じているくらいだから、同じような疑問を感じている人が他にも絶対にいると思う。
もしも、その場ではいなかったとしても
私の問いかけは残るもの。
いつかきっと志を同じくする誰かが目にしてくれる。

毎日、昼休みも満足にとれず
毎日、残業して
他施設からの研修も要請があれば受入れ(もちろん無償で)
実習生も受入れ(実習費は当然全部施設に入り)
その他のもろもろの仕事もし
なんでわざわざ忙しい思いをしてこの上発表までするの?
…そう思ってる人はきっといると思う(苦笑)

私は、今のままじゃいけない
って強く強く感じています。
そう感じている人はきっとたくさんいると思います。
じゃあ、どうするか。
文句ばっかり言う人や評論家になる人や良いとこどりする人は、たくさんいます。

哀しいかな
私たちの世界には、宮大工の西岡常一さんや小川三夫さんの言う「研ぎ」に値するものがない。

(詳細は前の記事…「木のいのち木のこころ」をご参照いただくとして
 雑駁に言うと、「腕前」という目には見えない、数字にもあらわせない「ちから」を現実に表象させる「もの」が大工の世界では「研ぎ」にあたる、という意味で書きました。)




でも、結局は
「他人は騙せても自分は騙せない」

だから
今、自分ができることをやる。
私にとっての発表もその1つです。
















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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして!いつも楽しみにしています。
OTをしています。老健で6年目(経験年数も6年目です)
ぼくも筋力強化信仰に疑問を感じています。
最近の風潮を木に例えるなら、「桜(花)や紅葉(葉)は人気があるけど、幹はに注目する人は少ない」といった感じでしょうか。
もっと根本的な考えを啓蒙した方が良いのではないかと思っています。(心が動けば、体も動く!)
近年、作業科学という考えが出てきて、OTは人の健康に対して今まで以上に寄与できると思っています。
人の人生の幹の部分(どんな人生を送りたいのか)を突き詰めた上で、一つの方法として筋力強化を行っても良いのかなと思いますが、いかがでしょうか?
よしひら
2008/06/29 09:07
よしひらさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
>もっと根本的な考えを啓蒙した方が良いのではないかと思っています。
私もそう考えています。

筋力強化はとりあえずの効果は出るかもしれませんが、実は筋力強化をしたせいで加齢以上にADL能力の低下が加速されてしまう場合だってあると感じています。(このことについては改めて記事にします)

その人自身が生活していく…その援助がリハなんだ…ということを考えれば必然的に認知や情意もからんできます。無関係という事はあり得ない。
でも大切なことは、そこをとらえたうえで、どのように還元していくか…ということなのに、実際の臨床では疎かになりがちな部分だと感じています。

ただ、同じ大工でも「研ぎ」がいろいろなように同じ「OT」でもいろいろですよね(苦笑)
OTは、確かにいろいろな「道具」を持っているかもしれませんが、「使えるようになる」というのは難しいものです。
本当に奥が深い。

それは、OTだけに限りませんが。
speranza
2008/06/29 22:07
お返事ありがとうございます。

錆びた包丁を振り回すことのないよう日々精進せねばなりませんね。
「木のいのち木のこころ」を読んだことがないので、読んで見ます!!
よしひら
2008/07/01 20:07

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