『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 発想の転換 その2

<<   作成日時 : 2008/07/14 00:00   >>

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発想の転換が求められているのは、身体的なリハにおいても同様だと考えています。

認知症をもつ方に接している方は充分に感じられていると思うのですが
マイナスの部分をできるようにしようと考えたらとてもやっていかれません。
最初は「マイナス」の部分を何とか「改善」しようと
口酸っぱく言ったり、いろいろなことをさせたりするかもしれません。
でも、「プラス」をみつけ、「プラス」に働きかけるうちに
マイナスが自然となくなった…そんな体験は多いと思います。
あるいは、認知症をもつ方の障がい…というのは
「動作」の障がいではなくて「行為」の障がいだから
身体的な介助とは違う…と感じられたりするかもしれません。

でも、まさにここのところが違うんです。
認知症をもつ方のケア、リハと
身体的な障がいをもつ方のケアやリハが違うのではなくて
本当は同じだったのに私たちが気がつかなかった…のではないでしょうか。

ICF(国際生活機能分類)という考え方が新しく導入されました。

これは本当に画期的な考え方でリハのフレームワークを根本的に問い直すものだと考えています。
http://yoshiemon.at.webry.info/200705/article_24.html
ですが、現実はどうでしょう?

ICIDH(国際障害分類)の因果関係論にとらわれている療法士がまだまだたくさんいるのも事実です。

たとえば、中枢性障がいをもつ方に筋力強化をおこなう療法士もとても多いのですが
これもおかしな話です。
だって、脳卒中後遺症でからだが動かなくなったのは、
からだに問題があるからではなくて
からだに命令を出す脳の回路の機能不全が原因でしょう。
それなのに、からだの筋力強化をやる…ということは
文脈的に考えたって論理的整合性がありません。
(このことについては、当事者でもある栗本慎一郎氏が明確に訴えています。
http://www.homopants.com/

それなのに、なぜ「筋力強化」がお題目のようにまかり通っているのか…

1つには残念ながら、障がいの専門家と言われている私たちの認識不足があげられると思います。
言葉にしないだけで、そのことを誰よりも実感しているのは
利益を受けるはずの当事者の方、ご家族の方だと思います。

もう1つは、リハビリへの誤解。
療法士自身がまだICIDHの枠組みにしがみついているということ。
筋力強化が必要以上に実施されるのも、ベースの考え方としてICIDHの考え方が染み付いているからだと考えています。
ICIDHは、ある種、わかりやすい部分もありますが
「リハビリ=マイナスの修正(最たるものが筋力強化)」という誤ったイメージを
療法士自身も拡大再生産し
そのことによって当事者にも周囲の方にも誤ったイメージを提供し続けてきたのではないでしょうか。

今、私たちがおこなわねばならないことは
ICFをどのように当事者の方に還元していくか
…という実践論だと思います。

ICIDHは認知症をもつ方には使えません。
ですが、ICFは認知症をもつ方にも使えます。
身体的な障がいをもつ方にICFを使えるようになったら
現在のリハのフレームワークは根本的に変わると思います。

キーワードは当事者参画と能力発揮。

たぶん、ICIDHから抜け出せない療法士は心のどこかで
「自分の立つ瀬がなくなる」ことを感じとって抵抗しているのかもしれません。
でも、実際は正反対で、当事者参画と能力発揮を促すことこそ
障がいの専門家と言われる私たちの出番なんです。

そのためにどうしたらいいか…ということについて
今、私が考えていることを記事にしてみます。









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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
脳卒中の後遺症で、左半身マヒの私は、発症後9年経った今、パワーリハに通い筋肉強化に努めてます。歩行は、とりあえず、出来ます。
左手は、殆ど使えません。
もっと早く、格好良く歩きたい!
左手で杖を持てるようになりたい!
脳の回路の回復を待っています。
療法士によるリハを受けられない今、
最良の訓練と考え、筋トレをしてます。
奇跡的に回路が回復した時のために。
この体で実証出来るのですから、
試行錯誤しながら、リハビリに励みます。
ただ個人的な経験で終わってしまうのは、
惜しいとも思うのですが。
くにくに
2008/07/15 08:56
パワーリハは、その名前と見た目の機械の仰々しさから「筋力強化」に効果あり!という感じがするとは思いますが、パワーリハは実は楽に動かせる範囲で設定することになっています。
(もちろん、くにくにさんは実感されていると思います)
パワーリハの良いところは、身体を動かすと、その部分の「動きの感覚」がとてもはっきり感じられるところだと思います。
これはとても大事なことです。
たぶん、やっているとすごく気持ちがいいのではないでしょうか。

ただ、お身体が硬くならないようにだけ気をつけていただいて…指が曲がって伸びにくい、歩いていると肘の曲がりが気になる、左足がまっすぐ前に出にくい、腰や背中の筋肉が張る…などが目立つようだったらすぐに担当の職員に伝えてください。

あとは、いろいろな運動の検査をなさったと思いますから、結果をしっかり教えてもらってどこがどんなふうに変わったか、どうしたらもっといいのか、たくさん話し合われることをおすすめします。
speranza
2008/07/15 21:55
私が筋力強化「信仰」に疑問を感じているのは、「全体と個の協調」への視点がないからなのです。
この点については、だいぶ後になりそうですが、記事にまとめますのでもし良かったら読んでくださいね。感想もぜひお聞かせください!
speranza
2008/07/15 21:56
有り難う御座います。
 私は中枢性障がいを持つ利用者側の人間ですが、右脳被殻の出血から一ヶ月ほど経過して意識が明確になったとき、私達は筋力強化をおこなうのではなく、脳に動きを憶えさせる?のだと考えました。

 そのためには、同じ動作を繰り返し行う必用があるとも思いました。試験勉強に似ているとも感じました。毎日根気よく何度も訓練することだと思い、療法士に訓練室以外での自主訓練の指導を受け、病棟や病室で訓練しました。

 リハビリが専門の療法士さんにも、「筋力強化」を主眼にしている人がいるとお聞きして、本当にこう言うセラピストがいるのだと驚いた次第です。
マサおじさん
2008/07/16 10:32
マサおじさん、貴方の中枢性障害とは、どのようなものなのですか?発症からどの位経つのですか?良かったら教えていただけますか。
くにくに
2008/07/16 11:02
くにくにさん
 私は5年前に脳出血をおこし、左上下肢が痲痺しました。発症から5ヶ月ほどで回復期リハ病棟を退院し、二週間ほどの自宅療養を経て元の職場に電車通勤で職場復帰し、2年半の通常勤務で定年退職しました。障害者手帳2級2種です。
マサおじさん
2008/07/16 11:37
くにくにさんのお返事の前にわりこんじゃってスミマセン…

マサおじさん
中枢性障がいをもつ方に筋力強化をするPTは決して少なくありません。
私が一緒に働いたことのあるPTはみんなしています。経験年数の多少や出身養成校に関わらず…。
実は、それだけありふれている事象なんです。

>同じ動作を繰り返し行う必要があるとも思いました。
マサおじさんのおっしゃるとおりです。
栗本慎一郎さんは、かつて
「(完全に元通りの身体のように)元には戻らないが練習したことはできるようになった」とおっしゃっていました。
中枢性障がいの回復ということについて、言い得て妙だ…と感じました。
speranza
2008/07/16 22:49
マサおじさん
お返事ありがとうございます。
脳出血後、職場復帰され、電車通勤で通常勤務されたとのこと。
私のように、主人と2人の家事をのんびりこなしつつ、気ままに暮らしている主婦とは、違う
んですね。
くにくに
2008/07/18 20:02

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