『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 運動器の機能向上サービス対象者に認知機能低下している方がたくさんいる

<<   作成日時 : 2008/10/09 21:01   >>

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当施設でのサービス開始以来の実利用者50名のうち認知症自立度Ua以上の方の占める割合が56%でした。(平成20年4月末現在)

なかには、サービス開始時点でVの方が6名いらっしゃいました。
この現実をどう思いますか?

厚労省は
運動器の機能向上サービスは介護給付のリハとは
時間も空間も物理的に別立てでおこなうようにと明文化して伝えています。
「予防」の人なんだから状態像の維持向上ができるように
療法士もちゃんと考えておこないなさい…ということなんだと思います。
そのために、サービスの流れとしてするべきことは
(事前事後評価、体力測定、事業所から包括への状態像報告…など)
介護給付のリハの場合と違い明確に規定されていますが
中身についても時間についてもなんの規定もありません。
要するに「どうやってもいいからとにかく状態が良くなるように」ということです。
療法士への信頼(?)なのか挑戦(?)なのかはわかりませんし(それはどうでもいいことですが)
療法士の立場にたてば、こんなにやりやすいことはありません。
対象者の方の状態像にあわせていろいろなやりかたをおこなうことができるのですから。

ところが、現実には「サービスの目的と対象者の状態像の乖離」が起きています。
詳細はこちらに。
「介護予防の目的と対象者について」
http://yoshiemon.at.webry.info/200610/article_6.html

認知症自立度Vということは、既に「介護」が必要な状態です。
(だからこそ、Vです。)
実際の生活場面では目に見える「かたち」で
本人、介護者双方にとってのいろいろな困難があらわれてしまっているのです。
「頑固で言うことを聞かない」「すぐに怠ける」「寝てばっかりいる」などなど…。
BPSD:認知症に伴う行動障害と心理症状(かつての周辺症状のことです)がないばかりに
家族も職員も気がついていないだけで。
こうなったら、認知症の中核症状の進行をくいとめていくことは非常に困難です。
率直にいえば、Uaでも難しい…。
(もう既に金子先生の言う「指示待ち」状態となっているわけですから…。)
ですが、職員、家族にとっては困ることが少ない(!)ので見落とされがちです。
話がちゃんとできるから認知症がないとはいいきれません。
生活能力が保たれているから認知症がないとはいいきれません。
認知症の困難の主なことのひとつは
記憶の連続性の低下により
自分らしく暮らしていく「手だて」を失っていくことにあると考えています。
たとえ、認知症になったとしても「手だて」の代行が可能ならば
自分らしく暮らしていくことは不可能ではありません。
私たちの知識と対応が追いついていないために
記憶の連続性の低下に悩むだけでなく
その不安を誰とも共有できず自らの胸に押し込めようと
余分な苦しみを抱え込む人たちがきっと多くいることと思います。

要支援の方が受けられる通所リハでのサービスは
「共通サービス」(送迎、食事、入浴など)
「運動器の機能向上サービス」「口腔機能の向上」「栄養相談」
のみです。
認知症予防については、まったく考慮されていない。
当施設では週に1回だけ、共通サービスの一環として
まさしくサービスで「認知症予防教室」をおこなっているという現状です。
これでは、対象者への本質的な対応も後手にまわってしまいます。

9/25の記事で(http://yoshiemon.at.webry.info/200809/article_19.html
運動器の機能向上サービスを実施していて対象者の方が
上肢のリハ、操作性の向上を希望していても
おこなっていない事業所が多いと書きました。
これは療法士の意識と対応の問題なので
療法士が改善しようと思えば、今すぐに改善できることだと思います。

でも、なかなか改善しにくいのが認知機能低下についての対応です。
そして、時期を逸すると対象者の状態は改善困難となってしまうのです。

厚労省は5年以内に認知症の早期発見の診断法を確立したい…と言っています。
早期診断ができるようになるのは必要です。
でも、問題はその後。
医者のしごとって本当は「診断」じゃない。
患者の助けになること。
的確な助けができるようになるための診断。
診断してから、医者の本当のしごとが始まる…と考えています。

早い段階で診断できるということは、本人の不安も非常に強い時期に告知を受けるということです。
でも、今の状況では、本当のしごとがおこなえる「場」は限られています。
困るのは対象者です。

その時が来てからでは遅すぎる。
これは医者だけの問題ではないと思います。










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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
勉強になるブログありがとうございます。
最近このブログを知り、最初から全部読ませていただきました。
自分は老健で10年目になるOTなのですが、同じような悩みや訴えをしているんだなぁと感激です。
これからも勉強させてもらい、そしてコメントとして自分の考えも書かせてもらいたいなと思ってます(勝手にだけど・・・)。

老健だけに限らずお医者さんは治すのが好きな方が多いように思います。
認知症は治らない!と決め付け診断で終わりっていうのもそういう影響かもしれません。
でも、認知症は治るチャンスがある!
原因を知り、対応を理解し、必要な手立てを医師主動のもと展開できれば、幸せな高齢者は絶対生みだせると思っています。
でも、OTはチームの中の1員であり、主導者ではない・・・。
できることには限りがあるかもしれないけど、叫ぶ人がいないよりはいつか何か生み出せるかもしれない。
そう思い、相手を理解したことは他職種に伝え、老健でできる治療とは?を訴えるようにしています。
効果はまったくでていないのがつらくて仕方ないですが・・・。
じぇっと
2008/10/11 12:17
じぇっとさん、はじめまして。
ぜひぜひ、どんどんコメントしてください!
よろしくお願いします。

…で、のっけから大変恐縮ですが
ただ、こちらのウェブログは当事者の方もご家族の方も立ち寄ってくださっています。
余分な誤解はできるだけ避けたいので、私は言葉の使い方には慎重になっています。(それでも時々ヘマをやらかしますが)

>認知症は治るチャンスがある
としたら、「認知症」ではないでしょう。そういう定義になっています。認知症とよく似た症状を引き起こす別の病気か、もしくはBPSDの症状がなくなる…ということはありだと思いますが。
ただし、認知症が治らないからといって私たちのやる仕事がないわけではありません。認知症をもつ方への援助は必要です。治らない病気だからこそ必要です。そしてご本人だけでなくご家族に対しても…。

>効果はまったくでていない
どういう状況なのかがわかりませんので何とも言えないのですが、認知症予防教室については過去の全国大会で発表しましたのでもしよろしかったら検索してみてください。ご参考になればうれしいです。
speranza
2008/10/11 19:37
事情了解しました。
言葉について誤解を生んでしまいやすいことも理解しているつもりですが、失敗はあとから気がついてしまうもの・・・
できるだけ、書きながら確認しながら気をつけます。
じぇっと
2008/10/13 08:40

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