『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 潜在する非常に大きな課題

<<   作成日時 : 2009/01/23 00:04   >>

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地域で暮らす障がいをもつ方が
良くなったときにも悪くなりかけたときにもタイムリーに具体的なアドバイスを受けられない
…という現状のことです。

つまり、2つの課題があると考えています。
1つはシステムの問題。
そして、もう1つは療法士の問題。です。

2つの課題についての解決策を模索する前に
まずは、現状の共通認識をしていただきたいと思います。

現在のシステムでは
脳卒中発症→急性期リハ→回復期リハ→介護保険リハ
という誘導をされています。

ところが、現実には
病院は退院したけれども介護保険のリハサービスは利用していない
…という方が少なからずいらっしゃいます。
後遺症はあるけれども、リハサービスを使うには至らない
でも、後遺症はある…。

このような方は、たいていご自身の生活の中でリハビリを工夫されるわけですが
良くなってきたら
その時こそ、次の段階へのレベルアップのリハが必要です。
調子が悪くなってきたら
その時こそ、ひどくならない前に適切な対応が必要です。

ですが、現実にはどちらの場合にも
療法士からの適切なアドバイスを受けられないのです。

医療では、単発的なアドバイスのみは診療報酬上認められていませんし
(違っていたら教えてください。)
介護保険サービスは申請しなければ利用できませんし
申請してサービスが使えるまでにほぼ1ヶ月はかかってしまいますし
認定の段階で非該当と認定されてしまえば使いたくても使えません。
また、認定を受けられたとしても、アドバイスだけを単発的に受けられる
…というサービスもありません。

というわけで
継続してのリハは必要ないけれど
困った時やどうしたらいいのかわからない時に
ちょこっと相談にのってほしい
…というのが
ご自宅で障がいをもちながらも
ご自身でがんばっている方の本音でもあるのではないでしょうか?

でも、現実にはそのような「場」がない
…システムとしてすっぽりと抜け落ちてしまっているからです。
より健やかに暮らす
…という観点から、1番介護予防に必要な「気軽に相談できる場」がないのです。

そして、もうひとつが療法士の側の問題です。

では、そのようなシステムを創出したとして
果たしてうまく機能するものかどうか…?

現段階では私はYESとは答えかねます。
それは、1つ前の記事でも書いたように
利用者にとって必要なことをまず「やる」療法士が
「現実的に」「具体的に」アドバイス「する」療法士が
どこにでもたくさんいる…というわけではないように感じているからです。

これは哀しい、残念な現実でもありますが
私はただ単にそのような人を糾弾したいわけではありません。

そんなことよりも、現実の状況を少しでも改善したいのです。
困っている方がいるのだから
困りごとをなくすことはできないにしても
せめてなくせる困りごとは少しでも少なくなってほしいと願っているからです。
そして、実は療法士の意識のもちようをちょっと改めるだけで
ずいぶんといろいろなことが変わってくるのではないかと
強く強く感じているからなのです。

1つ前の記事に書いた変なことは
何も新しいテクニックを学ばなくても
英語の文献を読まなくても
やろうと思えば誰にでも今すぐにできることです。

たとえ、針目がそろっていなかったとしても
大切なことは対象者の方の安全確保なのではないでしょうか?
「気をつけて歩いてくださいね」…と口先で言うくらいなら
安全を確保するために今すぐに自分ができること
…杖先ゴムの消耗度を目で見て確認する
…針と糸をもってベルトを延長する
ことなどを、まず、自分が「やる」ことこそが必要なのではないでしょうか?

そんなことは家族がすればいい
…と言われるかもしれませんが
当事者の方はご家族の方にものすごく気兼ねされています。
そして実際に靴のベルトの延長をされたことのある方ならおわかりのように
かなり力が必要だったり細かなしごとだったりして
年老いたご家族に頼むのは酷でもあるし
なかには、日中独居の方、一人暮らしの方、あるいはご家族との関係性が良くない方
…もたくさんいらっしゃいます。
第一、ご家族ができるなら
履いた時点で直す家族はとっくに直しています。
理由は何であれ、できないからご家族はしないのです。

今すぐにでもできることをやろうとしない療法士が
当事者の方が具体的に困りごとを相談してこられたときに
具体的な対応策をアドバイスしたり、
具体的に困りごとを表現できないときに
具体的に聞くことによって困りごとの焦点化の援助ができる
…そんなことが可能なんだろうかと考えてしまいます。

私たちに必要なことは
当事者の方の確かな助けとなることです。
場合によっては、時にはそれが非常に困難なこともあるでしょう。
そんな時でも、その意思だけは持ち続ける。
そのことを「言う」のではなくて「伝え続ける」。

専門家と呼ばれる私たちに課せられた責務であると思っています。









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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
 入院リハビリを終えて、家庭復帰が出来、職場復帰まで果たしても、完全回復は無いかもしれません。だからこそ、退院後も療法士さんが歩行や身体の動かし方をチェックし、具体的な動かし方を指導・協働する必要を痛感しています。

 このような事は、教育の場でも教わらないかもしれませんし、現場での体験も無いのかもしれません。
回復期病院を杖なしで歩いて退院しても、その後のケアーが不可欠だと感じています。
 記事にあるような内容の本質がこれからのリハビリ医療には必要だと思います。有り難う御座いました。
マサおじさん
2009/01/23 14:52
リハビリの長期目標が家庭復帰、職場復帰…と教わるので身体のより良いはたらき…という考えがすっぽりと抜け落ちてしまっているように感じています。
「歩ける」「家事ができる」「通勤できる」…いろいろなできかたがあるはずなのに、単に○○「できる」という全か無かの判断基準になってしまっている。

その「できかた」という「はたらき」を見ていれば、自立している人への「身体のケアの方法論の提供」や「より良いはたらき」への対応や「はたらきが低下したとき」への対応の必要性について議論が進んでいたのではないか…と考えています。
speranza
2009/01/23 19:16
マサおじさんのように、杖なしで歩いて退院し職場復帰までされた方は「優等生」という烙印…プラスの意味での烙印ですが、それでも烙印です…を押されてしまい、マサおじさんがより健やかに働く、暮らす…という観点での対応にまで配慮がなされなかった…という可能性もあるのではないかと感じています。(大変、失礼な表現ですみません。)

マサおじさんのいらした回復期は、たぶん良い施設だったと思います。決して悪い施設ではない…そう思っています。
ただ、杖なしで歩いて退院でもRehabilitationは終わりではないという現実があるのだということを、そしてマサおじさんのような現実を抱えて困っておられる方は決して少なくはないのだということをもっとたくさんの人に知っていただきたいと思います。

それは、通所リハで働いていれば「なぜこんなになるまで…」という方に少なからず遭遇することから予測できる現実でもあるのです。
目の前の現実にいろいろな「課題」が見え隠れしているのです。
speranza
2009/01/23 19:17

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