『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 現在のリハシステムについて その2

<<   作成日時 : 2009/02/16 21:17   >>

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要介護認定はリハの必要性をあらわすものではありません。

このことは、ご本人ご家族、リハ提供者でも案外知られていないようですが…。
介護保険サービスは申請制をとっています。
介護保険を利用するためには申請をして要介護認定を受けなければなりません。

では、要介護度とは何を示すものなのか。
実は、要介護度とは「介護の手間」を段階付けたものなのです。
どのぐらい介護に手間がかかるか
…という尺度に応じて介護度が認定されるのです。

ですから、極端な例を出すと
上肢の麻痺が重くても日常生活は大抵自分でできている。
家事もなんとかおこなえている。
近所への散歩も定期的におこなえている。
…となると、要支援認定が出ることのほうが多かったりもするのです。

また、介護の手間を尺度とするので
認知症があったとしても長年住み慣れた家での生活能力が保たれている方
…というのもとても多いのですが
このような方の場合、介護の手間がかからないので
(BPSDがないと認知症ということでのチェックは非常に入りにくいのです)
記憶の連続性がかなり低下していても
要支援認定が出る…ということも多いのです。

つまり
最初の例では、上肢のリハを希望したとしても
要支援認定が出た状態で使えるのは
運動器の機能向上サービス…つまり移動面のリハ…なので
上肢のリハが提供できる枠組みがない…ということになってしまいます。

また、2つ目の例では
認知症が悪化する前にリハの提供と対応の工夫により
進行防止が必須の時期なのに
要支援では認知症へのリハサービスを提供できる枠組みは全くないのです。

これらのことは以前の記事にも書きました。
「運動器の機能向上サービス対象者に認知機能低下している方がたくさんいる」
http://yoshiemon.at.webry.info/200810/article_9.html
「介護予防の目的と対象者について」
http://yoshiemon.at.webry.info/200610/article_6.html

以前は医師と療法士の判断と患者さんのニーズによって
リハの内容はさまざまなことを提供することができました。
現在は「疾患別」のリハが診療報酬の体系になり
複数の疾患を抱えている人のほうが圧倒的に多いにも関わらず
認知症はその最たるものであるにもかかわらず
病院では対応されていないことのほうが多いのではないでしょうか?
老健でも加算をとるには「疾患別」の基準が必要となっています。
…短期集中リハは身体面の、認知症短期集中リハは認知症に対する…ということですから
 おおまかな疾患別に準ずる形態と言えると思います。

リハ提供機関も機能分化が推進されていますから
言い方を変えると
患者さんは発症して最初に入院した病院から直接ご自宅に帰るよりも
患者さん利用者さんがさまざまなリハ提供機関を順繰りに出入りする
(介護保険でも要介護から要支援になったときに
 今まで利用していた事業所が運動器の機能向上サービスを提供していなければ
 事業所を変更しなくてはサービスの提供が受けられないのです。
 しかも、介護では複数の通所事業所を利用することができましたが
 要支援では1カ所の通所事業所しか利用できないのです。)
…という現状があるということになります。
このようなことは
他の多くの場合と同じように
実際にその立場になってみて初めて知る…ということのように感じています。

180日制限撤廃された…といっても
実際には、180日を超えてリハを提供できるためには
患者さんの状態像に一定の条件があり
その上で作成すべき書類や踏むべき手順が新たに追加されることもあって
現実には誰でもどこの病院でも可能になった…というわけではないのです。
リハをめぐる制度は医療保険でも介護保険でも、とても煩雑になってきています。

つまり
リハの提供サービスもリハの制度も機能分化しているのです。
(今後、逆行することはないように思います。)

ずっと前には
身障系の病院…と言えば
どこの病院でも大抵は似たようなリハサービスが提供されていたと思います。
ところが、今では急性期とりわけDPCを算定している急性期病院と
回復期病院とではリハサービスの内容はずいぶん異なっているように聞いています。

「同じリハビリなのに何で違うのか?」

ごく普通のごく当たり前の感覚の質問だとは思いますが
現実には、「同じ」リハビリではない…という仕組みになっているのです。
それぞれの「場」でやらねばならないことの決まりごとがあるのです。

要介護認定のあり方から
必然的にリハの必要性とは乖離した介護度が認定される。
(介護保険=リハの保険ではないので当然といえば当然ですが)
設定したサービスの対象者の状態像と現実が乖離している。
幾重にも錯綜した混乱が現実に既に起こっていますが
療法士の側にも改善の余地はあるように感じています。

いわゆる維持期と言われている脳卒中をもつ人に対して
非麻痺側の筋力強化をおこなう療法士は少なくないですし
認知症の理解が不十分な療法士も少なくはありません。
(会話が成立したり指示理解が可能であれば
 見過ごされてしまっていることも多いのではないかと思います)

サービスを提供する側としては
自分の所属する組織が提供するサービスの量的質的向上を図るだけでなくて
患者さん、利用者さんの立場に立って
発症からのシステムを縦断的に眺めてみると
さまざまなシステム上の問題があるということを自覚した上で
制度を理解して法を遵守したうえで
制度にふりまわされて、利用者さん、患者さんの不利益にならないように
まずは、各自がその場でできる工夫をするということと
同じサービス提供者同士でどのようなシステムの課題があるのかを
明確に認識の共有化を図ると
自分のところだからこそ提供できるサービスがあるから
そこはもっときちんとやっておこう
…などの工夫が深まっていくのではないかと考えています。









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