『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 身体は現前している

<<   作成日時 : 2009/02/07 20:40   >>

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前2つの記事のAさんとBさんの現実が意味していることって何なのでしょうか?

お2人とも
一部の人からは「超慢性期の廃用手」と烙印を押されかねない状態です。
そこまでいかなくても「お決まりのROM訓練」を
世間話かなんかをしながら漫然とおこなわれている…ということは
実はよくあることなのではないでしょうか。

お2人とも状態像に変化があった…。
しかも、リラクゼーションに要する時間が短縮している…。

この現実が意味することは何なのでしょう?

脳を含めた身体がリラクゼーションを学習した…とも言えるのではないでしょうか。

確かに最初は私との恊働体験です。
でも、今ではご自身で自主トレとして指の屈伸がおこなえるようになりました。
これって
最初は介助なしには立てなかったけれど
ついには介助なしに「何かにつかまれば」自分ひとりで立てるようになった
…と同じことだと思うのです。
そして、この次に目指すのは
「何かにつかまらなくても」自分で立てるようになるのと同じように
「非麻痺側に動かされなくても」麻痺側だけで指の屈伸ができるように
そして、さらに
自分で立てるようになったら
どんな状況でも立てるように…よりスムーズに立てるように…
ということと同じように
麻痺側だけで指の屈伸ができるようになったら
いろいろな動作ができるように…より滑らかに動けるように…
ということと同じだと思うのです。
…そういう運動学習の過程(身体のはたらきをより高めていく)にあるのだと思うのです。





AさんもBさんも
私が担当になった時には肘も曲がり手も硬く握り込んでいましたから
一見、筋の短縮が起こっているように見えるのかもしれません。
ですが、なぜ筋の短縮が起こるのでしょう?
使わなかったから?
なぜ関節可動域訓練をおこなうのでしょう?
関節を動かさないと硬くなるから?
ではなぜ関節を動かさないと硬くなるのでしょう?
お2人とも以前からずっとROM訓練を受けていました。
けれど、肘は曲がり手を硬く握り込んでいました。



大切なことは、ただ、表面的に関節を動かすのではなくて
お2人の例では
脳卒中→脳の回路の機能不全→筋緊張の亢進→運動障害→関節が自動的に動かせない
…のですから
筋緊張の緩和→関節が他動的に動く(自動的に動く準備が整う)→関節が自動的に動き始める
…の対応が必要なのではないかと考えています。

この一連の過程は
脳を含めた身体の総体としての
学習過程なのではないかと考えています。

学習である以上、リハビリは
療法士にしてもらうものではあり得ません。
療法士がさせるものでもあり得ません。
療法士がしてあげるものでもあり得ません。



そして、AさんもBさんも
紆余曲折を経ながらも
今、この時期にこのように状態が変化した…ということは
発症からの年数には関係なく
脳を含めた身体は運動学習をおこなえる…ということを示しているのではないでしょうか。

逆に言えば
もっと早くから、このような運動学習を促すことができていたとしたら
もっと早くから、状態が変化していた可能性だってあり得たかもしれません。



療法士は、どんなに経験を重ねたとしても
常に自分よりすばらしい知識と技術をもつ療法士を追い越すことは決してできません。
対人援助職としての「宿命」です。

だから、先人は、後世の人のために
さまざまな知識と技術を残そうとするのではないでしょうか。

だからこそ、私は、文字通りに最善を尽くすしかない…と感じています。




ちなみに関連して
「脳卒中による片麻痺をもつ方のROM訓練から考える」シリーズ
http://yoshiemon.at.webry.info/200710/article_19.html
http://yoshiemon.at.webry.info/200710/article_20.html
http://yoshiemon.at.webry.info/200710/article_21.html
http://yoshiemon.at.webry.info/200711/article_1.html
http://yoshiemon.at.webry.info/200711/article_3.html
http://yoshiemon.at.webry.info/200711/article_4.html

要旨は
ROM訓練をするならきちんとリラクゼーションをしてからおこなうべきではないか。
外力(人の手や物体や自重)によって伸ばすのではなくて
該当筋がリラックスすれば筋は伸張し関節は動きやすくなる。
上肢に関するリラクゼーションの具体的方法論を記載してあります。

以前に書いた体幹筋のリラクゼーションが適切におこなえれば
上肢のリラクゼーションをせずにROM訓練をおこなえることも少なくありませんし
逆に上肢のリラクゼーションを適切におこなえれば
体幹筋のリラクゼーションをおこなわずにすむ場合もあります。

リラクゼーションは、運動学習のレディネスを整える方法論のひとつだと考えています。
リラクゼーション=リハではなく
リラクゼーション=目的ではなく
リラクゼーションは、それ自体で完結するものではなくて
リラクゼーションが得られて運動学習…身体のはたらきを高める…が成り立つ。






そして
意識されにくいけれど
身体は休むことなくはたらいている。
私たちの身体は
どんな状況にあったとしても
身体は総体として身体を守るようにはたらいている。
(良くも悪くも)

身体は無口だけれど
厳然として現前している。

現実の中に課題も解決へのヒントも示されている!

私がちゃんとわからない、よみとれないだけなんだと思う。

でも、私は今の自分を決して否定しない。

ある方の言葉のとおりに
「いつだって今の自分が1番いい」
のだと…そのとおりだと思うからです。

その上で、より良い自分になっていきたい。

よりわかるように…。
よりよみとれるように…。









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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私も最近、数年来のど仏を座位では見る事が出来なかった(娘曰く)という方の座位姿勢の改善、手掌や肘の屈曲の改善をリラクゼーション及び御本人の意識性の変化による改善を経験しています。

ただ私も偉そうには云えず過去に数回臨時に関わった事がありましたが、そのときは漫然とROM訓練をしていたに過ぎません。その日は臨時に入り、昼食直後で車椅子に座った状態。私の過去の経験の中で、手の痙性など、ベッド状より座位における方が緩む方もいて、あえていつもとは違う方法でのアプローチを試みました。関節を僅かに動かしても痛みを訴える事もあり、呼吸を利用したリラクゼーションをまずは行った結果、特にROM訓練をせずとも肘や手掌の痙性が抜ける。その後座位時に強く前傾して傾く理由を御本人に聞けば、『後ろに倒れそうで怖い』という。過去に車椅子から落ちた事で恐怖心が肘掛を強く握り締め、過剰に頸部を体幹を屈曲させていた事が判明。リラックス後、後ろで支えている事を諭すと、自身で背を伸ばし、ヘッドレストに頭を付ける様に改善が見られました。
 
 リラックス、そして精神的な面、意思・意識の関与を強く感じました。
メントレ
2009/02/08 14:41
メントレ(ぎゃーろ)さんへ
こちらのウェブログの管理人として申し上げます。

複数のニックネームを同時使用しコメント投稿されるのは無用の誤解のもととなりますので、ネチケットにもとづき以後お控えくださいますようにお願いします。

また、コメントいただけるのはうれしく思いますが、記事の論点についてコメントいただけると、読んでいる方にも無用の誤解を招かずにすむと思います。

以上2点に対し
ご協力をよろしくお願いいたします。
speranza
2009/02/08 16:17

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