『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

アクセスカウンタ

zoom RSS 現在のリハシステムについて

<<   作成日時 : 2009/02/10 22:30   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4

私は医療保険のリハについては詳しくないので違っていたらご指摘くださいますようお願いします。

脳卒中発症し急性期病院に入院すると
発症して間もないうちに転院先の説明が開始されることもあるのだそうです。
急性期病院はDPC診断群分類包括評価…医療費の定額払い制…の導入への流れがあるために
急性期病院の入院期間の短縮化が図られているからです。
整形疾患では特にその傾向が顕著で
リハの初回評価をおこなった…と思ったら
数日したらもう退院していた。場合によっては翌日退院していた。
というのは、急性期に勤務する複数の療法士から聞く現状です。

発症から2ヶ月以内なら回復期リハ病棟へ入院することができます。
回復期リハ病棟というのは
「ADL向上によって寝たきり防止、家庭復帰を目的としたリハを集中しておこなう病棟」のことです。
http://www.jaot.or.jp/jaotpdf/H20kaihukuki-rehaQ&A.pdf
つまり、回復期リハ病棟…という名称から
機能回復のリハをする病棟というイメージを持たれるかもしれませんが
回復期リハ病棟の定義としては
ADL向上(を手段として)寝たきりの防止と家庭復帰を目的とした病棟なのです。
家庭復帰率やADL向上率が病棟の報酬に直結しているということは
上記資料をご確認いただければ一目瞭然かと思います。

回復期リハ病棟を退院後に介護認定を受け
仮に要支援と認定されば場合には
介護保険の通所系、訪問系、短期入所のサービスを利用することができます。
ですが、現状では訪問リハは需要はあっても供給が追いついていないという現実がありますし
そもそも、介護保険設立当初は通所系サービスを利用できないからこそ
訪問系サービスを利用するのだ…という指導があったのも事実です。
(状況が変わった…ということになるのかもしれませんが)
通所系で使えるのは、デイサービスもしくはデイケアの共通サービス(入浴、送迎、食事など)と選択サービスの1つとしての運動器の機能向上サービスです。
運動器の機能向上サービスとは
介護予防のために特に骨関節疾患を対象に
廃用を防止しようという観点で設けられた介護保険下のリハサービスの一種です。
そもそも、そのような対象者を目的として創設されたリハサービスなので
規定されている利用開始時、終了時の体力測定の項目はほとんど移動能力です。
仮に要介護と認定された場合には
上肢のリハよりも他のことを優先してやらなければならない
…という場合も多いのではないでしょうか。

こんなに長々と書いて何が言いたいのか…と言えば
急性期、回復期、運動器の機能向上サービスと
リハの専門家のいる病院、施設を利用してきたのに
上肢の機能回復のリハを1度も受けられない可能性だってある…ということなのです。

急性期では超急性期化が進んでいる…とも言われていますので
まずは全身管理が必須です。
症状の重篤度にもよるのでしょうが、上肢のリハどころではない…という場合も多々あるかと思います。

次に回復期リハ病棟に転院しても、もしも転院先がADL向上を厳しく要求されるところであったとすれば
上肢のリハよりもADL向上に対する働きかけを優先する…ということもあるかもしれません。

そして、介護保険で通所系のリハを受けたとしても
そこの療法士が上肢についての働きかけをしてくれなければ
運動器の機能向上サービス=移動面へのリハ…なので、上肢のリハが受けられない…ということもあるかもしれません。

私が今、ここに書いた例えは極端なケースを想定していますので
このようなケースが多い…とは言えないとは思いますが(そう願いたいです)
可能性としてあり得る…という話なのです。

現に当施設では運動器の機能向上サービスを利用している半数以上の方が脳卒中後遺症をもつ方です。
(厚労省の設定したサービスの対象者と現実が乖離していると感じています)
他の事業所から当施設へ移った方の何人かが
「ここでは手も見てくれるからありがたい」とおっしゃっていました。
つまり、他では見てもらえなかった…ということなのです。

私は、運動器の機能向上サービスを提供するにあたり
移動能力へのリハを提供した上でさらに上肢の操作性向上に対してもリハを提供しています。
規定されたやるべきことをやったうえでこのような方法論をとることは現実的に可能です。

同じように回復期リハ病棟において
おそらく1番濃厚なリハサービスが受けられる「場」において
上肢の操作性向上へ対するリハを提供する方法論を工夫することは可能なのではないかと思うのです。
(もちろんADL向上は至上命令でしょうから、そこをやったうえでの話になりますが)

そしてもう1つは
医療保険でのリハが診療報酬上、疾患別になったことです。
入院する理由となった疾患に対してのリハ…ということで診療報酬が設定されましたが
患者さんで単一の疾患のみもっている方は圧倒的に少ないのです。
特に多いのが
脳卒中後遺症と骨折
脳卒中後遺症と認知症
骨折と認知症
…といった組み合わせの疾患をもつ患者さんです。

変だと思いませんか?

リハは疾患…病気に対して提供するものではなくて
疾患をもつ「人」に対して提供するものなのではないでしょうか?

もしも、仮に上肢の操作性向上のリハを受けることもなくご自宅で過ごしている
…となれば、もっと良くなりたいと思っても
どのような方法論をとったらいいのかわからない
どのような方法論をとるべきでないのかわからない
…でも良くなりたいがために必死で良いと言われていることは何でもやってみる
ということがあり得ます。

ただ、ひたすら早く歩くことをめざしたり
ただ、ひたすら力をつけることをめざしたり
…良かれと思ってのことなのに
結果として、身体が硬くなって歩きにくくなり手も動きにくくなり
それなのに、どうしたらいいのかわからない
どこに相談してよいのかわからない
…そのようなことが現に起こっているのではないでしょうか。

私たちは
PTOT法、医療保険、介護保険それぞれの法律下で仕事をする人間です。
ですから、法律を遵守することは必須です。
リハを提供する立場として自分が所属する組織の一員として仕事をすることも必須です。

でも、対象者の利益、不利益…ということに
もっと敏感になるということを忘れてはいけないと思うのです。
対象者の立場に立ってみたらどうなんだろう…という視点で
各種サービスを捉え直してみることが大切なことなのではないかと考えています。

そうしたら
たとえ小さな一歩であったとしても
確実な一歩を踏み出すこともできるのではないかと感じています。









テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
speranzaさん、こんばんわ。
いつもsperanzaさんの記事を読ませていただいて、たくさんのことを知り学ばせていただいております。
先日の「闘うリハビリ」は私も見ました。speranzaさんもきっと見ていらっしゃるだろうなあと思いながら
そして、昨日のブログと皆さんのコメントも読ませていただきました。あの番組は、見る人それぞれの立場でいろいろな思いを抱かせましたね。
私は、カウンセラーと言う立場としてsperanzaさんが今日書いていらっしゃった
>それなのに、どうしたらいいのかわからない
>どこに相談してよいのかわからない
という、患者さんの心の部分について考えさせられました。個人の「リハビリしたい」という意欲や「リハビリしてほしい」と言うお気持に対してフォローができたらなあと感じました。
speranzaさんのブログはとてもためになりました。ありがとうございました。
余談ですが、5月のバリデーションセミナー参加します。今から楽しみです。


とらん
2009/02/10 23:33
急性期の病院に勤務しているOTです。

>リハは疾患…病気に対して提供するものではなくて
疾患をもつ「人」に対して提供するものなのではないでしょうか?

そう思います。
疾患別リハとは名ばかりの一面があります。

「人工股関節置換術後」で運動器リハを行った人が退院して1週間後に肺炎で再入院しました。
その後、「廃用症候群」で脳血管リハを行っています。

診断名は変わっても、リハ内容は変わらずに、その人の生活をよくしようとするものです。

リハができるように診断名を利用してはいますが、内容はなるべくその「人」に対してのものにしています。
MTひろ
2009/02/11 00:20
とらんさん、コメントありがとうございます。

カウンセラーは、大変なお仕事だと思いますが、これから先ますます需要は多くなるように感じています。
たとえば、リハビリに励むご本人を支えるご家族のお気持ちはご本人を援助する側の職員には伝えづらいものもあるかもしれません。
また、厚労省は今後5年以内に認知症状の早期の確定診断法を確立したい…といっていますが、そうなった時に必須なのが早期の段階で診断されたご本人やご家族の心理的支持です。とりわけ若年性認知症と診断された場合には、さまざまな混乱が一挙にご本人ご家族を襲います。
5年後にどれだけ認知症の誤解が解消されているのか…今のままでは、ご本人、ご家族、周囲の人の誤解が余分なプレッシャーとなってしまいます。

とらんさん、バリデーションセミナーがとらんさんにとってもステキな出会いの場となりますように…。
speranza
2009/02/11 23:04
MTひろさん、コメントありがとうございます。
お疲れさまです。

患者さん、利用者さんに関わる人たちが点だけではなくて必要に応じて線でもつながっていくような…そんな協力ができればいいな…と感じています。

急性期で働く療法士の心身のストレスについての話を聞いたことがあります。
どうぞお身体お大切になさってください。

speranza
2009/02/11 23:15

コメントする help

ニックネーム
本 文
現在のリハシステムについて 『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる