『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 立ち上がりができなくなるのは、本当に筋力低下が原因だろうか?

<<   作成日時 : 2009/06/10 23:32   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 3

ずっと疑問に思っていました。

車いすでトランスファーが自立している方の多くは
最初は、ご自分でできていても
だんだんとできなくなってきて
介助が必要となり
介助量も多くなっていく…というケースが非常に多いことに疑問を抱いていました。

トランスファーが自立している方にとって
老健の生活は、三度の食事、おやつ、トイレ…などと
トランスファーの機会というのは、とても多いのです。
それなのに、できなくなっていく…。

本当に筋力低下が原因だろうか?

既に獲得されているある生活動作に必要な筋力と可動域は
その生活動作そのものが要求します。
それなのに困難になっていく…?

とすると
普通に考えると
筋力低下ではなくて、原因は他にあるか
もしくは、トランスファーの時の立ち上がり方という動作の方法の誤用、過用が原因か
…と考えるのが自然だと思います。

つまり、私は立ち上がり方の誤用という可能性について問題提起をしているのです。
http://yoshiemon.at.webry.info/200906/article_1.html

何かにつかまって腕でひっぱるようにして立ち上がる
手で膝や椅子を押し下げるようにして立ち上がる
垂直に立ち上がる
実際の生活場面においては
とにかく人の手を借りずに自分1人で立ち上がれるということは重要です。
でも、このやり方でしかできない…となると、
今は「できて」も「でき続ける」…ということが困難になってしまう方がとても多いのです。

腰に負担をかけない立ち上がり方の指導や
運動後のリラクゼーションの指導もなく
筋力強化としての立ち上がりを繰り返すことによって
意に反して、立ち上がり困難を助長してしまっている可能性があるのではないかと考えています。
そして、腰痛や下肢痛、歩行困難の遠因にもなっているかもしれないのではないかと考えています。

高齢者や脳卒中維持期の方に対して
筋力強化必要論が盛んに当たり前のように言われています。
でも、実際に臨床の場面では
筋力強化しているのに、立ち上がりができなくなっていく方を知っているはずなのです。
そうなると「筋力強化が足りない。もっと筋力強化しろ。」という論調になりそうですが
私が言いたいのはそうではなくて
適切に筋力強化をしているのに、立ち上がりができなくなっていく…としたら
筋力強化という方法論が適切ではないのではないか
…というごく普通の推論が何故成り立たないのだろう?という疑問なのです。

こどもが運動発達の過程において
身につけていく能力は
筋力だけではありません。
お年寄りが老化の過程において
失っていくはたらきは
本当に筋力だけなのでしょうか?

もう1つ思うことは
人間の老化において筋力低下は必発です。
筋力強化が必要ということは自然な筋力低下
…つまり老化そのものを否定することになってしまいます。

人間発達において
人間の精神には、老化によって量的に低下していく能力もあるが
質的に成熟していく能力もあることと言われています。

もしも
人間の精神において
質的に成熟していくはたらきがあるのなら
人間の身体においても
同様のはたらきがないはずがない

そう考えています。









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なるほど(納得、参考になった、ヘー)

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
共感致します。
私は最近訪問リハに関わり始めたばかりの経験の浅いOTです。

先日,訪問先の利用者さんのトイレでの立ち上がりを観察させていただいたのですが,何故か左膝を伸展したまま足を膝より前方へ出して,両サイドの手すりを強く握りこみ,その力で立ち上がりをしていました。
左の股関節に人工関節が入っています。

何故,そのような立ち上がり方をするのですか?と問いますと,しばらく考えられて
「こうすると安心なのよね」と仰るのです。
左の股関節を守ろうと思い,その様な姿勢で立ち上がりをされていた様です。

そこで,両方の足の位置を揃えて,手すりには軽く手を添えるだけ,そして両方の膝を軽く曲げ,おじぎするような感じで立ち上がって頂き,いつもの方法と比較してもらいました。

うめじ
2009/06/17 14:56
ベッド上での寝返り・起き上がり,座位からの立ち上がり・座り動作,移乗動作など,基本的で日常的に行う動作の質というところを見直す必要性を日々感じます。
うめじ
2009/06/17 14:59
うめじさん、コメントありがとうございます。

>基本的で日常的に行う動作の質というところを見直す必要性

私もそのことは、非常に強く感じています。
そして、それらをADLの動作と結びつけておこなうことが大切だと考えています。「身体の機能」だけをトレーニングするのではなくて、「ADL動作」だけをトレーニングするのでもなく…

例えば、生活目標を○○ができるようになる、△△ができる…という量的向上としてだけではなくて、動作の質の向上の目安として設定すること…こういうことを意識している療法士って何故かあんまりいないように感じています。
speranza
2009/06/17 20:07

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