『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS ミツバチのささやき

<<   作成日時 : 2009/09/26 17:45   >>

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原題「EL ESPÍRITU DE LA COLMENA」ミツバチの巣箱の精霊

監督 VÍCTOR ERICEビクトル・エリセ

Yahooの映画検索を見るとレビュー採点でいつも「ローマの休日」とともに登場している。
ずっと前から観たかったけれどついに観ました。
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id22903/

静謐で豊穣
詩情あふれる絵画のような映画です。

まだご覧になっていない方はぜひ1度ご覧ください。

ここから先はネタバレです










画面はハチミツ色を基調として陰影豊かに描かれています。
父親は養蜂をして一家はそれなりの暮らしをしている。
冒頭、父親は蜂をゲージから出すが
どの蜂も飛び立とうとせずに蜜を生産し続けるために人工の巣で働く。
蜂の様子をみて人間のようだ…とふと思う。
母親は過去に別れた誰かに心を残したままでいることが暗示される。
まるで蜂の巣のような六角形の模様が連なった窓。
いつも2人一緒の小さな姉妹。

決して貧しくはないけれど
明るい家庭ではないことが伝わってきます。
両親ともに子どものことを思ってはいるけれど
他のことに心とらわれている。
直接には語られていない挫折や別れ…
思いを果たすことよりも、生きることを選ばざるを得なかっただろう
なんらかの理由があって
1度は納得したのだろうけれど、しきれず…

幼い姉妹は
こどもだけれど
こどもだからこそ
そんな両親と時代の空気と無縁ではいられない。

荒涼とした大地と乾いた風と薄曇りのシーンが続くなか
父親と姉妹がきのこ取りに出かけるシーンは陽射しあふれる明るいシーンです。
そこで見かけるきのこ…毒きのこでも良いきのこでも
生命の息吹を感じさせる…!

「悪いものは…」といって父親は毒きのこを踏みつぶし踏みにじる。
父親が踏みつぶし踏みにじりたかったものは本当はきのこではなかったかもしれない…。
でも、このきのこは
ちょっと前まで大地に息づいていたきのこは
自分の父親に踏みにじられてしまった…。
(後半、少女の家出の直接のきっかけとなったことの伏線となっています)

この映画の中に出てくる植物は
挿入された映画の、フランケンシュタインと少女との交流の象徴として使われた花の他には
このきのこだけです。

幾度もの戦いや強奪、虐殺によってたくさんの人が倒れたであろう
この荒れた土地からの
生命の再生の象徴…
終盤、家出した少女だけが夜の森の中でみつけたきのこにそっと手を差し出す…

この時、母も過去との自分と決別する
大切な人からの大切な手紙を自らの手で燃やし
今、ここで、生きていくことを決心する
机に伏して寝入ってしまった夫への気配りは
彼女が元来はとてもきめ細やかな女性であったことを
自ら、それらを封印してきただろうことがらを
もう1度、自らに取り戻すことでもあった…。

繰り返し登場するドアの開け閉め、窓の開け閉め
何重にも重なるドアが続く廊下
深夜、蜂蜜色の窓を開ける少女
外のブルーが美しい…自立、自由への第一歩

「ソイ…アナ」私はアナです

ラストの問いかけは
誰かに頼るために問いかける声ではない。

自分が自分であることの発見。
そして、世界は開かれていることの発見。





静かだけれども
深くゆるぎない
人間への信頼感と希望

どれほどの抑圧と失望と忍耐を経て
研ぎすまされてきたのだろう…。

原題も邦題もすばらしい…。

この映画が時代を超えて人々に伝えられていきますように…。















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