『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

アクセスカウンタ

zoom RSS 片麻痺の方で斜めになって座っている方でもまっすぐに座れるようになる

<<   作成日時 : 2009/10/18 14:55   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 11 / トラックバック 0 / コメント 5

発症から何年も経っている方でも傾いて座っておられる方って結構たくさんいらっしゃいます。

ですが、現実問題として
斜めになって座っていても生活する上では「直接的な」阻害因子とはならないので
案外放置されていることだったりもします。
そして、そういう状態でも
歩行練習のほうに重点が置かれたりすることもよくあります。

でも
斜めって座る…つまり傾いた状態というのは
身体が過剰にがんばらないとできない状態です。
試しに斜めって座ってみてください。
(ちょっと1分座っただけで、なんともない…というのはナシですよ…苦笑)
しんどいから、どこかで「つっかえぼう」を作り出すと思います。

よくあるのが
肘掛けにもたれたり
肘をついてほおづえをつく…という姿勢です。
あんまり「その場」で自然に「見えちゃう」姿勢なので
疑問視する人は少ないのですが
まっすぐ「座るはたらき」が不十分なので、そうやって代償…身体が工夫しているのです。

左右対称に座れないのに
左右対称に立てるはずがありません。
左右対称に歩けるはずがありません。

それでも歩行のレベルを上げようとする…
つまり、4点杖を使って歩いていた方に1点杖(多くの場合T杖)で歩くように練習する
杖で歩いていた方に杖なしで歩く練習をする
装具を使って歩いていた方に装具なしで歩く練習をする
そういうことってものすごくたくさんあります。

でも、その時に「その状態でも歩けるかどうか」ということはチェックされても
「全身状態」ってあんまりチェックされないようで私にはそのことが不思議です。

歩けていたとしても麻痺側上肢全体が曲がってしまう
腰が痛くなる
まっすぐ座れなくなる

そのようなことが起こったら黄色信号です。
歩き方に負担がある証拠…方法論の見直しが必要です。

リハビリというのは、
動作をさせることによって一時的にできるようにすることではありません。
リハビリというのは、
身体のはたらきを高める、その結果として見た目にもある動作ができるようになってくる
そういうものです。

もしも
T杖で歩けるようになった、独歩できるようになった、装具なしで歩けるようになった
…そういうのは誰の目にも「わかりやすい効果」ではあるかもしれないけど
それが原因で身体に悪影響が出た…としたら
それって結局は
「手術は成功したけれど患者は死んだ」
「子どもは学校に通うようにはなったけれど笑顔が消えた」
そういうことと同じになってしまうのではないでしょうか?

発症から10年近く経った方でも
「適切な」リハビリによって、まっすぐに座ることができるようになります。

身体は身体を守っています。

傾いて座っている…ということは
まっすぐに座れない…という困難をあらわしているのと同時に
傾いてなら座ることができる…という能力をあらわしてもいます。

よくあるパターンが
『傾いて座っている=まっすぐに座れない=患側に体重をかけられない=患側に体重をかけるように修正する』というパターンです。

これは百害あって一利なしで、悪循環になってしまいます。
これだけICFが叫ばれているのに、まだまだ頭の中がICIDHで凝り固まっている
そういう現状が示されているのだ…と思うのですが
身体は必要があって傾いているのですから
その必要性をなくさずに、表面的に傾き「だけ」を「修正」しようとするのは逆効果です。

私たちは「身体のはたらきの専門家」と呼ばれているのだから
もっと身体のはたらきを信用してもいいのではないか
つまり、視点の変換=ICIDHからICFという理念の意味を
もっと臨床に即して考え直すべきなのではないかと思います。

発症から何年経った方でも
「適切なリハビリ」をおこなえば
身体が傾かずに座ることができるようになります。

このことは、とても重要なことです。
脳卒中後遺症をもつ方に限らず
認知症が進行してしまったり
あるいは他の障害が原因で座って過ごすことが多い方にとっても
同じく重要なことなのです。

病気や障害が進行してくると
座っていることが困難になってきます。
そこでポジショニングやらシーティングやら
いろいろな試みが為されると思いますが
そのような状態像に至るまでの間に
予防できたはずのケースがあるのではないだろうか
そのように感じています。













テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 11
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた
ナイス

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
>発症から何年経った方でも
>「適切なリハビリ」をおこなえば
>身体が傾かずに座ることができるようになります。

上記での「適切なリハビリ」とはどのようなものなのでしょうか?

脳卒中後遺症の左半身麻痺で座位が傾いているデイケア利用者に、ケアワーカーとしてはクッションなどで補正しようとしているのですが…
この方はまたご本人の要望でリハビリ以外の場面で、力のある男性ワーカーが付き添って4点杖で歩行練習をすることもあります。
(リハビリの全貌は知らないのですが、平行棒内の歩行練習もしていると思います。)
立位では、健側上肢の肘を曲げて杖に体重をかけ、腰から上を前に折るかたちになります。
歩行もその姿勢で麻痺側上肢を介助されてします。
麻痺側の下肢はツッパリ気味で装具は使用していません。

このような方のためにケアワーカーとしてできることはどんなことがあるでしょうか?

久し振りのコメントですがよろしくお願いします。
iki-iki
2009/10/25 20:49
iki-ikiさん、コメントありがとうございます。

>上記での「適切なリハビリ」とはどのようなものなのでしょうか?

おそらくお尋ねの方は、相当な過剰努力をして歩かれていると思います。腰痛や下肢痛はありませんか?
ご本人に「歩かないと歩けなくなってしまう」という強迫観念がある方や「歩くことが自分の支え」となっている方も多く、そのような方にとっては「歩く機会」を減らしたりなくしたりするのは非常に困難だし無理してその機会を減らしてしまうと今度はその方の意欲を失わせてしまうことにもなりかねません。

そのような場合には時間はかかりますが(本来、身体的にはあまり望ましくないし時間もかかりますが)今やっている歩行はそのままにして、ただし距離や時間は今以上には増やさないようにして、まずはリラクゼーションを行うことが重要です。(ちまたでよく言われるROM訓練ではありません)

方法については過去に複数の記事を書いていますので、お手数ですが、トップページ右側下方にある「サイト内ウェブ検索」に「リラクゼーション」を入力、検索ボタンをクリックしてみてください。
それでもご不明なことがありましたらご遠慮なくご連絡ください。ただ、その時にはこちらも確認したいことがありますのでトップページ上方のアドレス宛にメールをいただけますか?
speranza
2009/10/25 22:07
また、このような対応も非常によくみかけることですが、「座位姿勢の補正」…と考えるとケアワーカーとしてもご本人も辛くなってくると思います。
今すぐにできることは、補正と考えるのではなくて、身体が傾いている方が、ラクに座れるようになるにはどうしたらいいのだろうか?と考え方を変えることです。
これは実はとても重要なことなのです。

もし、可能でしたら、その方を後、前、横から撮った座位の写真があるともっと突っ込んだアドバイスができるかもしれません。必要であれば、メールに写真を添付していただければお答えいたします。
speranza
2009/10/25 22:08
質問のデイケア利用者はおもに車椅子を使用している方ですが、自宅内で安全に杖歩行をしたいとおっしゃって、上記のように介助されて練習をしています。

腰痛や下肢痛についてお尋ねしたら、座っているときや歩いているときには痛まず、横になると背中が痛いということです。

上肢のことでは、水平バーなどにつかまって立ち上がる際に、麻痺側上肢を伸ばすこと、指の緊張を緩めてつかまることが以前よりしにくいということをおっしゃいます。

speranzaさんが最近紹介してくださっているシリーズがリラクゼーションの理解に役立ちます。
発症後数年は経過している方ですが、リラクゼーションがおこなわれていないから姿勢が傾いている、上肢が緊張している等となる?
その実情もご本人に尋ねてみようと思います。
非常勤介護職3年目ですが、リハのことをあまり知らないままであることに気付かされます。

ラクに座れること等、利用者ご本人に教えてもらいながらしてみたいと思います。
iki-iki
2009/11/08 19:47
iki-ikiさん、お返事ありがとうございます。

おそらく、その方のお身体は全身がガチガチだと思います。
骨盤の上〜背中、二の腕、首の後側の筋肉がパンパンに張っているのではないでしょうか?
肩甲骨と骨盤の動きも限られてしまっていると思います。
そうなると立ち上がりも1回でスッとスムーズには立ち上がれずに何回も立ち上がろうとして立ち上がれず…といったこともあるのではないでしょうか。

発症から5年、8年、10年経った方でもリラクゼーションをすることで座位姿勢は変わります。
たいていの方は「あぁラクになった」「身体が軽くなった」と言ってスムーズにスッと立ち上がれるようになり、歩幅も広く、歩行速度も早くなります。
(筋力強化はおこなっていないのにもかかわらず…です。)

もし、可能でしたら以前にお伝えした方法での立ち上がりも試してみて下さい。
決してふんばらせないように…ふんばっての立ち上がりは身体を硬くしてしまい百害あって一利なしです。

何かご不明なことがありましたら、いつでもご遠慮なくどうぞご連絡ください。

speranza
2009/11/08 20:47

コメントする help

ニックネーム
本 文
片麻痺の方で斜めになって座っている方でもまっすぐに座れるようになる 『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる