『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 訪問サービス提供時のリスク

<<   作成日時 : 2009/10/28 12:52   >>

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私は頻回ではありませんが、ご利用者のお宅を訪問することがあります。

また、ある機関の依頼でまったくの初対面の方のお宅を訪問することもあります。

直接間接に聞く話もふくめて感じていることがあります。
それは、訪問サービス提供時のリスク管理についてです。

リスク管理…というと、まずバイタルサイン確認と思われるかもしれません。
これは、確かにあります。

訪問に入らなければならない…ということ自体
その方の身体能力や体調が整っていないということでもありますから
血圧や呼吸、体力などが万全ではない場合も多いと思います。

以前、デイのお迎えにいったら利用者の方が倒れていた…ということもありましたし
突発的な体調変化に即応できる知識と技術と臨機応変の対応が求められると思います。
(もちろん、応急処置的なものでしかないけれど、できるかできないかは雲泥の差だと思います)

基本的な対応はもちろんですが
その方の疾病特性(障がいがある…ということは何らかの病気をもっているということなので)
をふまえて対応することが求められます。

このことは訪問に従事している人なら最低限知っておくべきことだと思いますが
実は、それ以上に頻発しているのに表面化していないリスクというものがあるように感じています。

それは
「相手のテリトリーにはいる」ことのメリット・デメリットです。

通常、私たち療法士は病院や施設にいて(特にリハ室という固有の場にいて)
自分たちのテリトリーに対象者がやってくる…ということがまだ多いと思います。
このことは、療法士・対象者双方にとってメリット・デメリットがあります。
ところが、訪問…というのは、相手つまり対象者のテリトリーにはいっていくことでもあります。

はいっていくわけですから
当然、まずは、いれていただかなければなりません。
病院や施設のリハ室に誰でもいつでもはいれるわけではありません。
その固有の施設のルールにのっとって初めてはいることができるのと同様に
対象者のお宅にいれていただけるかどうかは
その固有の対象者の「暗黙の」ルールにのっとらないといれていただけない
ということになります。

人の暮らしは千差万別
それこそ、どの暮らしぶりが正しくて、どの暮らしぶりが誤っている…なんてあり得ません。
その方の状態に照らして、現在のありようが適切かどうか
その方とご家族がより「処しやすい」暮らしぶりは何なのか
つまり、ここではBestではなくてBetterを模索する…という視点が求められてくると思います。
暮らしぶりを変える…というのは本当に大変なことです。
なかなかできることではありません。
ですが、暮らしぶりを変えない…暮らす人は変わっているのに暮らしぶりだけ以前のまま
ということになると綻びがあちこちに生じてきます。
小さな綻びのうちは、目をつぶる…というのは誰だって経験していると思います。
でも、目をつぶるということと気がつかない…ということは
表面同じようでいてその実まったく異なります。
(このことについては別の記事にします)

相手のテリトリーにはいる…暮らしぶりの中にはいる…ということによって
とてもたくさんの情報に触れることになります。

暮らし…というのは過去からの積み重ね
まさに、その方とご家族の「特性」と「能力」と「困難」が無言のうちに現前している「場」です。
瞬時にたくさんの情報が得られます。
その方の理解がグンと深まります。

ですが、同時にその「場」に知らず知らずのうちに、からめとられやすいリスクもあります。

継続して訪問のサービスを提供する仕事をしている人に
過剰同調というのは陥りやすいワナのひとつです。
相手に拒否されたらサービスを提供すること自体困難になってしまうので
とても気を使っている人は多いと思います。
また、常に相手を理解しようと努める共感性の高い人にとっては
周囲全部が相手の歴史という場において
自分と相手の境界は自分の皮膚ひとつしかないので
精神医学の知識とトレーニングの経験がないと
容易にとりこまれてしまうと思います。
(これは援助者対象者ともに意識レベルの話ではなくて無自覚に起こってしまうようなことがらです)

よかれと思って同情して親切心で仕事以上のことをして
その積み重ねで疲弊してしまったり
自宅の電話番号を教えたところ
連日連夜の電話にほとほと困り果てたり
逆に仕事とわりきって契約されたこと以上のことは決してしない
などといったことは、親切心の有無などではなくて
現れ方は180度違っても現れ方が違うだけで本質は同じことのように感じています。

たぶん、現在訪問ヘルパーの仕事に従事している人は
精神医学の知識をもっていない人のほうが圧倒的に多いと思います。
なんでこんなに疲れるんだろうと思っている人や
仕事の線引きに悩んでいる人って表面化していないだけでとても多いと思います。

対人援助という仕事でありながら
精神面の知識…たとえば、防衛機制や対象関係、人間発達についての知識
をもっていないというのは
対象者にとっても援助者にとっても
目には見えないけれど非常にリスキーなことだと考えています。

現在、PTが卒前の養成過程において
どの程度精神面の知識を学んでいるのか私にはわかりませんが
10年以上も前にある養成校の教員をしていたPTが精神医学の課程の必要性を語っていました。
OTも以前は就職分野に関わらず精神科での長期のインターン実習は必須でしたが
現在ではそれも叶わぬこととなっているようですし
そのことについての危機感を抱いている教員の方も多数おられます。

どの職種でも
養成過程において
身体面における課程に比べ
精神面の知識とトレーニングが不十分のように感じています。

援助を受ける対象者は、身体も心もまるごと一体としての人なのに
援助をする側の職員も、身体も心もまるごと一体としての人なのに

これから先
日中独居、独居老人、老老介護、認認介護…は増えることはあっても減ることはないでしょう。
訪問系のサービスの需要はどんどん増えていくと思います。

「訪問」=「相手のテリトリーにはいる」ことのメリットデメリットを理解したうえで
一時的な賃金引き上げだけでなく
精神面の知識と技術を涵養していくことも
訪問分野に人が「継続従事」する担保として
重要な要件のように感じています。










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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「気持ち玉数」の多さが、この記事の大事さを物語っていますね。
どりーむ
2009/10/29 19:46
どりーむさん、コメントありがとうございます。

たくさんの気持ち玉をいただき、本当にありがたく感謝しています。

私たちが今していることは、将来私たちが受けることでもあるのだ…とも思いながら日々を過ごしています。
speranza
2009/10/29 23:19

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