『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 立位や座位は止まっているように見えても静止姿勢ではありません

<<   作成日時 : 2009/10/31 21:01   >>

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立位や座位は動的姿勢です。

「普通に」考えてみると、このことはよくわかることです。

試しに
ちょっと片足立ちをしてみてください。
足の裏全体がウニウニと動くでしょう?

足の裏全体がウニウニと動くから
片足立ちを続けることができるのです。
ウニ…と動くことができないから片足立ちを続けることができないのです。

このことは何を意味しているのでしょう?

座位であれ立位であれ片足立ちであれ
動けるから姿勢を保つことができるのです。
止まっていられるから姿勢を保てる…のではないのです。

多くの療法士が
立位訓練や座位訓練と称して
「立つために立つ」「座るために座る」ことをしています。
(よくあるのは、イチ、ニ、サン…などと数を数えているパターンです)

ある姿勢で動けないのに
(動けば姿勢が崩れてしまうのに)
保持することを「やらせる」ような訓練をさせられるとどうなるか

過剰に力を入れて
がんばって、「かたまり」のようになって
姿勢を保持しようとします。
そうするしかないからです。

そのような人の非麻痺側上肢を確認してみてください。
非麻痺側なのに、腕の付け根から肘あたりまで硬くなってしまっています。
背中や腰まわりもガチガチになってしまいます。
そして麻痺側もガチガチになってしまいます。
これって本当に脳卒中の後遺症としての障がいだろうか?
そんな風に感じることがよくあります。

確かにそれでも10秒立てるようになるかもしれません。
10秒立てた…という事実は事実です。
ですが、過剰努力による姿勢保持は
今その時は良くても
半年後、1年後、3年後には確実に身体に影響があらわれてきます。

身体のはたらきを高めた結果として
できるようになった動作でなければ
効果はあくまでも一時的なものです。
そして、反動としての悪影響はかなり長期間にわたって
その方のお身体に染みついてしまうものなのです。

(いったんできるようになった動作方法というのは
 脳の中に回路ができた…という証拠です。
 同じ動作を違うパターンに切り替えるというのは
 とても大きな困難を伴うものです。
 自分の性格を変える…ということがどんなに難しいか
 ということと本質的には同じ困難さです。
 課題に対しての対応パターンを切り替えるということですから。
 容易に切り替えられるのは、
 これができるようになりたいと明確に認識したうえで
 動作中の動きと感覚を同時に感受できる人か
 自分の中の快・不快を行動基準とする人か
 つまり、すごく精神面の豊かな人か、すごく認知症が進行してしまった人か
 のどちらかのような印象を抱いています。
 どちらにしてもすごく少ない…
 大多数の人は1度獲得した動作方法を切り替えることはすごく難しい
 切り替えの過程としての援助というかたちでのリハが欠かせない
 ということもよくあります。
 どのような方法で動作が獲得できるのか
 つまり、ここで私が強調したいことは、
 リハの責任というのはとても大きいのではないかということなのです。)

立位や座位は止まっているように見えても静止姿勢ではありません。

動けるからこそ
姿勢を保つことができるのです。

Mobility with Stability
Stability with Mobility

身体はトータルにみることが必要です。

そして
機械以外の他の多くのことがらが
部分の積み重ね=総体とはならないように
身体も
部分の積み重ね=総体とはなっていません。

筋力強化は、部分の積み重ね=総体という考え方を暗黙の前提として成り立つ方法論です。

筋力強化が必要なケースも確かにあります。
けれど、それは巷でこんなに言われているほどには多くはありません。
(このことについてはまた別の記事で)

現状維持のためには
立位や座位が保持できるようになるためには
筋力強化ではなくて
動けるようになる…動きのある支持性、支持性のある動き…身体のはたらきを高めることが必要です。
そうすると
「結果として」立位や座位が保持できるようになってくるのです。

療法士がなにかできるように…という焦りにも似た気持ちを抱くことはよくわかります。
けれど
○○療法、□□セラピーに安易にとりついたり
先輩がやっていることだから
有名な人が言ったことだから
実習で習ったことだから
学校で教わったことだから
と、丸呑みするのはやめてほしい…と切に願います。

今、目の前で現実に何が起こっているのかを
見ようとすれば見ることができます。

今までの自分を否定しなくてはならない辛さもわかります。

けれど、大切なことは
何のためにこの仕事をしているのか…ということなのだと思います。

自分の自尊心のため?
目の前にいる困った人のため?

今、健康で元気な私たちも
いずれは、年をとり何らかの病気や不便を抱えていずれは死ぬ運命にあります。

その時に
自分や自分の大切な人が受ける将来のリハやケアや看護や医療は
今、自分がしていることです。
今、自分がしていることは、将来、自分が受けることです。
今自分がしていることは、将来自分にしてもらって本当にうれしいのかどうか…

納期と予算のない仕事なんてありません。
大切なことは
限られた制約の中で、最善を尽くせるかどうか、尽くそうとするかどうか
なのだと思います。













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