『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 非麻痺側の筋力強化をすれば全身が硬くなってしまう

<<   作成日時 : 2009/10/31 21:02   >>

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基本に立ち返って考えてみればよくわかることなのですが…。

脳卒中後遺症をもつ方で
連合運動や共同運動の影響を受けにくいBr.Stage6の方はおおぜいおられるとは思いますが
それ以上にStage5以下という方のほうが圧倒的に多いと思います。

連合反応…というのは、おおまかに言うと
非麻痺側の動きと同じような動きが、麻痺側にも意図せずに起こる…ということです。
通常は対側性に起こりますが、同側性にも起こります。

たとえば
よくみかけるのは、
あくびをすると麻痺しているほうの腕が勝手にくーっと曲がってくる
…というものです。
くしゃみをすると、勝手に足が上がってしまう…ということもあります。

そのような連合反応の影響を強くうけた動きの中で
対側性に起こる運動を連合運動
中枢側の動きが末梢側に影響する、あるいは末梢の動きが中枢に影響するものを共同運動
と言います。

これらは、通常、健康と言われている私たちの身体では抑制されていて起こらないことが
脳の障がいにより開放されてあらわれてしまう…という風に言われています。

おおまかにまとめて言ってしまうと
脳卒中後遺症のある身体というのは、
分離された動きが難しい
身体がまとまって動いてしまう
ということなのです。

つまり、個々の筋肉が微調整してはたらけない
筋肉と筋肉の調整と連携…複雑で精妙な動きが難しくなってくる
協調性の低下というのが本質的な問題なのです。
決して、筋力低下がメインテーマではあり得ません。

健康と言われている私たちは
右手なら右手だけを上に上げることができますが
脳卒中後遺症をもつ方は
麻痺している手だけを上に上げることは難しいことです。

ですが
この時に健康と言われている私たちの身体も
右手に関する筋肉だけがはたらいているわけではないのです。
右手を上に上げたなら、全身の筋肉のはたらきが変わっているのです。
脳卒中後遺症をもつ方の麻痺側上肢の動きは
それをもっと拡大してあらわしているとも言えるのです。

身体は常に総体としてはたらいています。

ですから
いくら維持期、慢性期とはいえ
非麻痺側の筋力強化をする…ということは
連合反応を強めてしまい
麻痺側はもちろん、非麻痺側の腰や頸部や肩甲骨周囲をガチガチにしてしまいかねません。

脳卒中の後遺症というものを
ごくごく普通に基本に立ち返って考えてみれば
筋力強化の不適切さというものがおわかりいただけると思います。

私が疑問に思うのは
このようにごく普通に基本的に考えればわかるようなことが
なぜわからずに
リハもケアマネも介護も看護も医師も
いわゆる専門家と呼ばれている人たちがこぞって
なぜこんなにも「筋力強化が必要」と叫ぶのか理解できないのです。

そして、もうひとつ疑問に思うことは
もし仮にそんなことを考えない人であったとしても
目の前にいる方のお身体をありのまま全体を見ていれば
動作はできても身体が硬くなってくるということになぜ気がつかないのだろう
ということなのです。

顕著なのは
立ち上がりです。

食事、トイレ、お風呂、臥床、離床…と
1日に何回もトランスファーや立ち上がりの機会はたくさんあります。
下手すると、プラスアルファとしてリハでも立ち上がりの練習をしていたりします。
それなのに、立ち上がりができなくなってくる
…そういう人を私たちはたくさん見かけているはずなのです。
生活の中でたくさんしているにもかかわらずできなくなる
…としたら原因は筋力低下でないのは明白です。

それなのに、なぜそのことに疑問を抱かないのでしょう?

普通に考えてもおかしなこと
考えなくてもおかしなことが起こっているのに
そのことに疑問を抱かずに
スローガンのように「筋力低下」「筋力強化」と言い続ける
そのことが大きな疑問です。

維持期、慢性期だからといって(だからこそ)
非麻痺側の筋力強化は効果がないどころか、悪影響で悪循環をもたらしてしまうものです。

私は過去の記事に
筋力強化をしなくても立ち上がりができるようになる
という記事を複数書いてきました。



*********************************************

「筋力強化しなくても立ち上がれる」
http://yoshiemon.at.webry.info/200906/article_1.html

「筋力強化だけしたって立ち上がれるようにはならない」
http://yoshiemon.at.webry.info/200907/article_14.html

「立ち上がりができなくなるのは、本当に筋力低下が原因だろうか?」
http://yoshiemon.at.webry.info/200906/article_7.html

「発想の転換 その2」
http://yoshiemon.at.webry.info/200807/article_12.html

「脳卒中後遺症をもつ人の麻痺について…リハの基本」
http://yoshiemon.at.webry.info/200901/article_8.html

「動作の意味論 歩きながら考える」
http://yoshiemon.at.webry.info/200904/article_9.html


***********************************************



ことは、立ち上がりに限りません。

どの職種であれ
筋力強化という文言を安易に使う前に
もう1度ごく普通に考え直してみてほしいと思います。
もう1度目の前に起こっていることをごく普通に見てほしいと思います。

当事者の方やご家族の方は
もう1度よく説明を受けて考えてお身体の変化の観察をしてほしいと思います。

そしてその上でなおかつそれでも本当に必要な筋力強化であるのなら
筋力強化という言葉に見合うだけの
負荷と回数とターゲットとなる筋肉を明確にして
現在、MMTで○レベルの☆という筋肉の筋力を□レベルになるように筋力強化する
として、おこなわなければならないのではないかと考えるのですが…。

かつて、老健にリハマネージメントが導入されるにあたって
漫然とした関節可動域訓練という名のリハはおこなわないように
と言われましたが
漫然とした筋力強化だってたくさんおこなわれているように思います。
多くの人が疑問に思わないようですが
漫然とした筋力強化は百害あって一利なしです。

この記事を読んでくださった方が
どんな職種であれ
どんな立場であれ
ご検討くださることを願っています。










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