『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 脳卒中後遺症をもつ方のリハビリ体制の現状…本人家族にできる自主トレC

<<   作成日時 : 2009/11/07 19:24   >>

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「指の動きを引き出す」

麻痺側上肢にとってのリハビリで特に大切なこと

それは大きく分けると
筋緊張を亢進させない
指の動きを引き出す
肩の支えを作る
…の3つだと考えています。

この記事では、指の動きを引き出す方法論について書いていきます。

麻痺側上肢の回復は
実は、末梢から始まると考えています。
(栗本慎一郎氏もそう考えていらっしゃるとのことです)
ですから、まず、指の動きを引き出すことが大切だと思います。
そういう意味で栗本慎一郎氏の考えられたクリミラーは本当に素晴らしいと思います。
「株式会社秀学 クリミラーのご紹介」
http://www.syuugaku.net/health/kurimirror.html
「脳梗塞-そして復活 栗本教授のHomopants.com」
http://www.homopants.com/index.html

もうひとつは
おこがましいようですが
「スポンジを使った指のリハビリ」です。
http://yoshiemon.at.webry.info/200812/article_22.html

くどいようですが、誤解のないように敢えて書きますけど
栗本慎一郎氏も私も
指の力をつけようとなどとは考えてもいません。
身体を動かすことによって
脳に代替回路を再建しよう…という考え方なのです。

クリミラーは、視覚を活用して脳の代替回路再建を促すものです。
この発想は、本当に素晴らしいと思います。
大切なことは、クリミラーの理屈をきちんと理解したうえで使うということです。
鏡に映った指の動きを麻痺側の指の動きだと思って集中して取り組んでください。
ただ単に良いと薦められたからやってみるのではなくて
方法論の理屈を理解する…そして納得したうえで続けることが大切です。
誰かの言葉ではなくて、ご自分の考えとしておこなうことが1番大切なのです。
おひとりでもできますが、誰かに麻痺側の指の動きを介助してもらって練習したほうが効果的だと思います。

スポンジのほうは、スポンジの反発力を利用した方法です。
脳卒中後遺症をもつ方の場合
指がほんのちょっと曲がる…という変化を示される方が圧倒的に多いように感じています。
問題はそこからで
もっと大きく曲げられるようになるにはどうしたらいいか?
ということと
曲がるけれど伸ばすことができない、どうしたらいいか?
ということだと考えています。

脳卒中になると、たいていの場合には
指が動かない…というだけではなくて
指の触る、痛さ、動き…などといった感覚まで鈍くなることが多いので
指がほんのちょっと曲がる…その「曲がった感じ」を
より明確にフィードバックすることが重要だと考えています。
スポンジを使うことによって
指がスポンジにくいこむのを目で見て
指でスポンジが縮んでいく感じを感じとることができれば
スポンジによって指の動きを「脳に対してより明確に証明」することになります。
このことは、意欲という面でも、実際に脳の代替回路再建という面でも効果があると思います。

また、脳卒中後遺症をもつ方は
がんばろうとすると、かえって思い通りには身体が動いてくれない
…ということもよくあることなのです。
特に繰り返しの動作=曲げる、伸ばすのような…時によく起こります。
指を曲げた後に伸ばそうとしても
どういうわけか、伸びずに反対に曲がるほうに勝手に力が入ってしまう
ということがよくあるのです。
でも、スポンジの反発力を使えば
曲げる→力を抜く→スポンジの反発力で指が伸びる
ことになり、結果として
今ある「曲げる」という指のはたらきを使って「伸びる」というはたらきを体験させることができます。
また、指の動きそのものに集中しすぎてしまうと意図していない過剰努力を引き起こし
かえって動きがはたらきにくくなってしまうことがありますが
スポンジの縮む、ふくらむ…というスポンジの動きに意識を向けることによって
指の動きに間接的に意識を向けることになり結果として過剰努力を抑制することにもなります。

こちらもひとりでも練習することができますが
大切なことは、
「もっとしっかり握るぞ」「もっと大きく指を曲げるぞ」
ではなくて
スポンジが縮んでいく「感じ」、スポンジがふわーっと広がっていく「感じ」に
意識を向けることがポイントなのです。

そして、どんな練習でもそうですが
動きの中での感じ、感じながらの動きの感受を繰り返すことによって
運動回復とともに、感覚障害のある方でも感覚が少しずつ戻ってくることがあります。
(このことは、単に手だけではなくて足にも言えることです。
 運動と同じで感覚も、指の感覚器官そのものが悪いわけではなくて
 脳の回路の機能不全が原因で起こることですから、
 脳に代替回路が再建されれば感覚がよくなって当たり前だと思います。
 ただ、動き以上に感覚の回復に挑戦される方が少ないので
 現状では感覚が戻ってきた!という実例が少ない…とも言えるのではないでしょうか?)

最後になりましたが
自主トレの補足として大切なことがイメージトレーニングです。
これならいつでもどこでもできますが
私がおすすめなのは、夜お休みになる前に
指が滑らかに曲がって伸びて
具体的な動作…たとえばグーチョキパーができたとか、スプーンを使えたとか
など、今ちょうど練習していることがらができたときの様子をありありとイメージしてみてください。
動きをイメージするだけでなくて同時に
その動きができてうれしいとか、麻痺側の手でスプーンで食事ができてうれしい、美味しいなど
ご自身のお気持ちを明確にイメージしたほうがいいと思います。
(言ってみれば、未来を先取りする…とでも言いましょうか
 脳に想像上の回路を作る…ということになります。)

ただ、誤解のないように書きますと
イメージトレーニング「だけ」していても効果はあまりないと思います。
絵に描いたモチで終わらないように
モチが見当たらない時でも、モチを探すといった作業を現実の世界でおこなうことが大切なのだと…
具体的で明確なイメージとともに
現実的で実際的な努力が必要なのだと考えています。
(未来と現在に橋をかける…と言うことです)

ただ、身動きがままならないような時でも
このイメージトレーニングは可能です。
これならやり過ぎ…という副作用もありませんし。

こんなことを書くのは不謹慎かもしれませんが
ヴィクトール・E・フランクル は「夜と霧」の中で
過酷な強制収容所の中で
人々を前に講演している自分をイメージして希望のよすがとしていたと記載しています。
そして、実際にそうなったのです。
そこまでとは言わなくても
私自身、考えてみると、イメージしていたことが現実になったり
逆に自分の潜在意識がイメージすることを阻んでいたり
そんな風に感じることが実際にありました。

イメージの力のことは、私自身まだよくわからないのですが
だからといって、否定することもできないと感じています。

麻痺した指が半年経っても動かなければ回復しない
…等と言う「誰かのイメージ」に支配されて
自分の希望を失ったりせずに
ご自分のイメージを信頼して
その未来への橋渡しとしての現実的な努力=リハビリを継続していただきたいと思います。

このことは
「リハビリ人生」「リハビリするためにリハビリする」などとよく言われることとは
似て非なるものだと考えています。

だって、これって
リハビリには限らないことでしょう?
自分はどうやって生きていくか…という根本的なこと
つまり、Re-habilitationそのものだもの。

だからこそ
「専門家」という肩書きで
「客観的証拠という名の統計というイメージ」で
困っている人を支配するなんて本当におかしなことだと思うのです。

あなたがなりたい自分としてどんなイメージを抱いてもそれはあなたの自由です。
でもイメージだけでは物事は成りません。
イメージどおりの自分になるためには日々努力が必要です。
私たちは私たちで最善を尽くして応援しますから
あなたもその覚悟をもって最善を尽くして努力を続けてください。

それがスジだと思う。

ところがこのあたりのことが
私たち専門家と呼ばれる人間も当事者もよくわかっていないところがあって
しかもそのことに無自覚だから
いろいろとヘンなことが起こるのだと感じています。
(このあたりはわかる人にはわかると思うけれど
 わからない人にはさっぱりわからないかもしれません。
 いつか別の記事にまとめますね。)

最後はちょっとハナシがそれてしまいましたが
でも、実はとても大事なことだと感じています。












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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>麻痺した指が半年経っても動かなければ回復しない
>…等と言う「誰かのイメージ」に支配されて
>自分の希望を失ったりせずに
>ご自分のイメージを信頼して
>その未来への橋渡しとしての現実的な努力=リハビリを継続していただきたいと思います。

 患者本人・家族だけではなく医療側も、リハビリ効果は何時までも続くという現実を信じて、取り組んでいただきたいと思っています。
 有り難う御座いました。
マサおじさん
2009/11/09 07:54
マサおじさん

正確に言えば、「リハビリの可能性は常にある」ということだと考えています。
それが「脳の可塑性」であり、「何事も遅くはなし」ということであり、「人は学ぼうと思えばいつでもどこでも学ぶことができる」ということなんだと思います。

ただし、リハビリは魔法の杖ではなくて
(このことはマサおじさんも書いておられますが)
時間をかけて一歩一歩少しずつ積み重ねていくものです。

その覚悟と継続がご本人ご家族医療側みんなに求められている…そういう共通理解がまず大切だと考えています。

貴重なコメントどうもありがとうございました。

speranza
2009/11/09 20:00

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