『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 脳卒中後遺症をもつ方のリハビリ体制の現状

<<   作成日時 : 2009/11/01 20:11   >>

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病院も施設も機能分化の流れになっています。

病院そのものも、病院の中の各診療科も
当然のことながら、リハビリもその流れの中にあります。

急性期病院、回復期病棟…という名称と機能もこの流れの中で生まれ位置づけられてきました。

DPC(Diagnosis Procedure Combination 診断群分類)を導入する急性期病院も増えています。
急性期病院に勤務する知人は
急性期ではDPCを導入せざるを得ないような報酬体系にある
そして、その先にあるのはベッド数削減だと言っています。
さまざまな救命処置を施されたままでのリハ開始
あっという間の退院
初回評価をおこなったと思ったら、もう退院、2回目に会ったのは外来リハというのは
整形疾患ではよくあるとのこと
回復期病棟は、発症から2ヶ月以内でないと入院できないので
状態が不安定でも転院し、また急性期へ戻ってくるケースもあるとのこと

回復期では
退院時のADL向上率が病棟への報酬に直接的に反映されるので
ADL訓練、非麻痺側の代償による動作獲得…に力点をおかざるを得ません。
脳卒中後遺症をもつ方でも6ヶ月という期間限定のリハなのです。

その後の外来リハにも制限があります。
このあたりの取り扱いについては都道府県によっても異なっているのが現実のようです。
そして、厚労省は
この外来リハをいずれは老健の通所リハに振り替えようとしています。
ところが、老健というのは最初はお年寄りのための施設でしたから
いろいろな困難を抱えたお年寄りが既にたくさんおられます。
また、介護報酬上、老健のリハでも訪問のリハでも
利用開始から3ヶ月間の介護報酬は引き上げられましたが
その後の報酬はがた落ちです。
つまり、長期間継続するリハビリに対しての報酬は少ないという現実があります。
経営上、長期者ではなくて新規利用者へ対応をシフトする誘導が報酬上なされています。

根本にあるのは
長期に回復していく方もたくさんおられるという現実の認識のなさです。
半年たって回復がなければあきらめなさい
というような話が今でも専門家と呼ばれる人たちによって伝えられています。
けれど、私のウェブログのトップページにある
「私の脳梗塞ー勝手で気ままな独り言」 http://www1.parkcity.ne.jp/kzmsw/
をご覧いただければおわかりのとおり
こちらのサイトの管理者の方は、発症後2年経過してから指先が動き始め現在も回復が続いているとのことです。

教科書的に
「半年経っても回復しないのに手の動きの回復にこだわる人が多い」
と言う療法士もたくさんいて
思わず
「このサイトを見たことがありますか?」
「1人でもこのような方がいるというのに、
 今目の前にいる人が2人目にならないとどうして言えるのか」と言ってしまいました。
現実に老健に勤務するOTの多くは
「病院ではもうよくならない」と言われていたけど老健のリハでよくなった
という対象者の声をたくさん聞いています。

そして1番の問題は
老健通所リハでの運動器の機能向上サービスにあります。
このサービスが創設されたときに厚労省が念頭においていたのは
膝や腰などの整形疾患がもとで廃用をおこしているような人たちです。
ですから、サービス提供において必須の体力測定は移動能力を基準にしたものです。
ですが、実際には
脳卒中後遺症をもちADLがなんとかご自分でできるけれど麻痺側の機能はよくないという人や
認知症のBPSDはないけれど中核症状は進行してしまっているという人が
要支援認定を受け、地域包括支援センターからリハ依頼がくる…というケースが非常に多いのです。
昨年の当施設で、脳卒中後遺症をもつ方が50%以上、認知症自立度Ua以上の方が50%以上という状況でした。
このような状況が当施設にだけ特別にみられるということは考えられません。
ですが、現実に、運動器の機能向上サービスを提供している事業所で
麻痺側上肢のリハや認知症状に対する対応をしている事業所がどれだけあるのでしょう?

いかがでしょう?
非常に雑駁に書き連ねてしまいましたが
急性期病院では確かに療法士の雇用も進み早期にリハが開始されるようにはなりましたが
お身体にいろいろなチューブが装着されたままでのリハなので
現実にできることは限られているそうですし
回復期ではどうしても身の回りのことがとにかく自分でできるようになることが求められていますし
外来リハの制限が厳しいところとそうでもないところがあるようですし
老健では限られたリハ職がそれこそ認知症の重度な方からついこの間まで自治会活動をしていたような方までをみなくてはいけない
そして要支援の人には、上肢のリハがもともと想定されていない…という現実があるのです。

だからといって
上肢のリハをあきらめろ…と言っているわけではありません。

このような現状をきちんとふまえていれば
その後の対応の工夫もできるのではないか…と考えています。

ひとつには
サービス提供側の療法士の立場として
もうひとつは
サービスを受ける側の本人、家族の立場として
それについては次の記事で。












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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
本日12:52にコメントをいただきありがとうございます。
大変申し訳ありませんが、固有名詞が書かれていたのでその部分だけ修正して以下に再掲させていただきました。
ご了承くださいますようお願いいたします。

------------------------------------------

 「私の脳梗塞ー勝手で気ままな独り言」の管理者の方は、「発症後2年経過してから指先が動き始め現在も回復が続いている」と書かれています。
 管理人の方は自主訓練で動くようになられた。強い意志で訓練を続けられたからだと思っています。入院リハビリでは療法士さんがいますからリハビリは続けられますが、退院してからの自主訓練は継続が難しいように感じています。
 私は訓練を続ければ元の戻るとの思いで発症から4ヶ月半で退院した後は、自宅・通勤電車・会社で両手を使い続けて動くようになりました。

 ある人は言います「少しでも動けば自主訓練するが、ピクリともしないから訓練できない」と。間違いではありませんが「ピクリとするまで」何かをし続けるのも訓練ですよね。最近思うのは、「ピクリともしない手の訓練は何か」です。
 自主訓練の方法があればと思っていますが、麻痺手を麻痺のない手で無理なく動かし続けると言う簡単な方法でも、継続の意志が強くなければすぐに頓挫します。「この訓練をすれば手が動くようになる」という魔法の訓練など存在しないのですから。
 
 結局、片手動作が自立した人は、麻痺手の訓練には興味を示さないような気がしています。両手が使えるように回復する方が良いに決まっているのですが、とても残念です。
 この思いが私のブログでは医療側に厳しい内容になっています。

 つづきの記事を楽しみにしています。
マサおじさん
2009/11/02 18:46
>入院リハビリでは療法士さんがいますからリハビリは続けられますが、退院してからの自主訓練は継続が難しいように感じています。

入院リハビリの時点でもう既に「おまかせリハ」になってしまっていることが多いように感じています。

ROM訓練をやりながら世間話をする療法士も多いようですが、そうするとROM訓練を「受ける」という「お任せリハ」になってしまいます。私はそんなのもったいないことだ…と考えています。

たとえ、リラクゼーションを行う時でもお身体の任意の場所に「意識を集中してその動きを感じとって」と常に言っています。リラクゼーションも恊働でおこなえてこそ初めて効果が上がると考えています。

病院という非日常の場でも
「おまかせ」になっていて自ら主体的にリハに参加していないのだから
自宅という日常の場では
自分ひとりでの自主訓練というのは難しいように感じます。
speranza
2009/11/02 21:31
もう1つは、「小さな成功…小さな変化」を認識しようとしない方がとても多いのです。
「Aができるようになってよかったですね」と具体的に言っても「でもまだBができない」と言う人が多いのです。
「前はできなかったAができるようになったのはスゴイことです。Bはこれからできるようになりますよ」と説明していますが…。

早くよくなりたいからこそ、そう感じるのかもしれませんが、一足飛びにできるようになったことというのはとてもモロイものです。身体に負担をかけてできているということですから。

「小さな成功」を1つ1つ積み重ねていこうと考える人は本当に本当に少ないのです。
(職員でも職場環境などBestを望んで不平不満を言う人は多いけれど、Betterの改善を少しずつ積み重ねていこうと現実的に努力する人は少ないのと似ているように感じています)

また、逆に言えば、療法士と当事者双方の暗黙の要請によって「お任せリハ」になっていたからこそ、「小さな成功」の重要性を療法士の側からきちんと指導できていなかったのではないか…とも考えています。

小さな成功が認識できなければ長期間にわたるリハ、ましてや孤独な自主訓練など継続できるはずもないと思います。
そうすると、いかに小さな成功を認識してもらえるか…そういう現実的で具体的な工夫が療法士に求められているのだと考えていて今試行中です。
speranza
2009/11/02 21:33
もう1つ、重要なことは繰り返しになりますが、具体化です。ただ漫然と動かすだけではどんな動きでも脳の代替回路再建にはなりませんから、動作獲得には結びつきません。

「手がよくなる」「元通りに動く」というような抽象的なことではなくて「指がちょっとでも曲がる」「肘がちょっとでも曲がる」…程度でもいいので(できれば具体的な動作に結びついていたほうがもっといいのですが)今の時点での目標を明確にしておくことがとてもとても重要なのです。
本当はこのあたりの具体的な目標設定の段階から当事者の方と療法士とが恊働でおこなえるといいのに…と思います。

案外、抽象的に考えてはいても具体化できていないので、結局は「結果として」漫然としたリハになってしまって、一生懸命やっているのに変化がないので諦めてしまう(抽象的であるが故にあきらめやすい)…というケースが実はとても多いのではないか…と考えています。

具体化した上で反復する
(身体の動きとその感覚へ注意を向けながら)
このことは、どんなに強調しても強調しすぎることはないと考えています。
speranza
2009/11/02 21:34
固有名詞の件 どうも済みませんでした。以後注意します。
>「小さな成功」を1つ1つ積み重ねていこうと考える人は本当に本当に少ないのです。
>もう1つ、重要なことは繰り返しになりますが、具体化です。ただ漫然と動かすだけではどんな動きでも脳の代替回路再建にはなりませんから、動作獲得には結びつきません。

 私はリハビリとは自分で努力する訓練だと思っていました。具体的な動作をするための訓練方法などを指導してくれるのが療法士さんだと理解していました。だから訓練方法が分からなければ教えてもらうようにしていました。例えば「両手での洗顔」です。
 目標達成のために、出来ることがす少しずつ増えることに喜びを感じていました。療法士さんも喜んでいました。
マサおじさん
2009/11/03 10:46

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