『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 脳卒中後遺症をもつ方のリハビリ体制の現状をふまえて…本人家族ができる自主トレ@

<<   作成日時 : 2009/11/04 21:11   >>

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「自主トレの良くないパターンとその理由」

自主トレですから、できないことをやるのは自主トレではありません。

このあたりをカン違いしている療法士がずいぶんいるように思います。
でも、どうやらこういった風潮はリハ業界だけではないようです。
ある教育の専門家が
「日本の教師は子どもたちにできないことを宿題に出す。
 おかしいと思いませんか?」
と言っていたので、
それこそ学びの支援…教育のプロと呼ばれている学校の先生達もそういう傾向があるのかな
と思ったりもします。

自主トレですから
ある程度は自分でできる
というレベルを提示するのがスジだと考えています。
スイスイできることを提示しても意味はないし
まったくできないことを提示してもできるようになるわけがないし
そのような課題はかえって逆効果になってしまいます。

難しいけどがんばったらできた
なんとかできるけど大変だ
気を抜いたらできなくなってしまうから集中してやっている

そういうレベルが適切ではないかと考えています。

上肢のリハビリで「これをやりなさい」と言われるパターンで多いのが
麻痺側上肢をテーブルの上にのせておく
…というものです。
これをBr.Stage2、3の人に自主トレとして提示する人が案外多くてビックリしたことがあります。
中には食事中は麻痺側上肢をテ-ブルの上にのせておくように
…と指示する人もいるのですが、そのような状態像の人には難し過ぎます。

基本に立ち返って考えてみれば、
上記の課題がいかに遂行困難かおわかりいただけると思います。

Br.Stage2とか3という状態像では
手指伸展、手関節中間位、前腕回内、肘屈曲、肩屈曲という分離状態を
おこなうこと、維持することが非常に困難です。
連合反応は出現しているので
食事という非麻痺側上肢の食物をすくい、口もとまで運ぶ…という動作にともなって
麻痺側上肢も屈筋共同運動が出現してテーブルの上から手がずり落ちてしまいます。
一見、麻痺側上肢は目にみえては動かないので
テーブルの上にのせておくだけならできるだろう…と思われるかもしれませんが
ところがどっこい
人間の身体というのは動きが目に見えなくても
筋肉ははたらいているのです。

(このことは
「座ってるだけなのに疲れる」
http://yoshiemon.at.webry.info/200908/article_11.html
「立位や座位は止まっているように見えても静止姿勢ではありません」
http://yoshiemon.at.webry.info/200910/article_35.html
でも書いてきましたが
麻痺側上肢がテーブルの上に静止できるには、
その状態を保つために筋肉が適切にはたらきつづけないと
できないことなのです。)

こんな難しいことをやれと言われても
努力したってできないんだから
イヤになっちゃうと思います。
課題を指示した療法士をイヤになるならまだしも
課題ができない自分を卑下したり、自信を喪失したり、意欲を失ったり
してしまっては元も子もありません。

私は自主トレを提示する時には
まず、頭の中で、対象者の方と課題とをすりあわせてできそうかどうか検討します。
それから、実際にやってもらって、必ず課題の遂行度を確認します。
自分のイメージと実際とにズレがある時だってあるからです。

上肢のリハに限らず、結構この確認をしないで自主トレを提示する人って多いんですね。
自分が介助して立ち上がりができたから
立ち上がりの自主トレを提示してみたようですが
自主トレですから、利用者の方がやる時には介助がありません。
当然おひとりでは言われたようにはできなくて困ってしまったと相談されたこともありました。

療法士の人は自主トレを設定する時に
「自主トレとして」課題の目的をきちんと遂行できるのかどうかという確認をきちんとしていただきたいと思います。

そしてもし不可能な自主トレを設定されたら
やってみたけれどできなかった、どうしたらできるようになるのか教えてほしいと
担当療法士に相談してみてください。

それから
もしもどこかで麻痺側上肢をテーブルの上にのせておく
という自主トレがよいと聞いて挑戦してみてできなかった方は
決して自信を失ったりやる気を失ったりしないでください。
ただ、時期が早かっただけなのです。

この記事では
よくある、自主トレのよくないパターンとその理由を紹介しました。

前置きが長くて恐縮ですが
こういう前置きをきちんと理解していただくことがまず大切なのです。














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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 自主トレは私もブログなどではよく推奨しています。
 自主トレとは、療法士さんの指導である程度出来るようになった動作を療法士さんの指示で繰り返し訓練することだと思っていました。

 だから、一人で出来ないことを患者にさせる意味が理解できません。
 一人で出来ない事に挑戦させることも必要ですが、それは自主トレとは意味が違うように思っています。
マサおじさん
2009/11/05 12:26
おっしゃるとおりだと思います。
リハの常識=世間の非常識となってほしくありません。
ごく普通の理屈で考えてみれば、言ってることとやってることのギャップに気がつきそうなものなのに…と感じてしまいます。

リハや自主トレを継続して小さな成功を積み重ねていくために1番重要なことはご本人の意欲喚起とその維持だと感じています。
「できない自主トレ」(言葉からして成り立ちませんよね)の設定は、その1番重要なご本人の意欲を低下喪失させてしまいかねません…。
それが1番問題だと考えています。
speranza
2009/11/07 00:41

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