『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS 身体は身体を守っている

<<   作成日時 : 2010/01/17 21:16   >>

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過去に関連する複数の記事を書いてきました。

(詳細は、トップページの右側下方の「サイト内ウェブ検索」でお試しください)

症状や障害として
目に見えるかたちとしてあらわれていることは
治すべきマイナスではなくて
そうすることで身体を守っているのだと思います。

たとえば
ケガをしたあとに、傷口がじゅくじゅくになります。
それは、見た目は悪い?かもしれないけれど
そのじゅくじゅくの中には、損傷治癒物質がたくさん含まれているのだそうです。

たとえば
多重人格という病気も
過酷な状況で生き残るための危機対応という側面があるそうです。

臨床心理学者の河合隼雄氏は
(深層心理的に)意味もなく病気にはならない
と言っています。

痛みやしびれは
身体の中になにかが起こっている
という、今までとは違うぞというマイナスのサインであると同時に
それ以上続けたら身体が壊れてしまうことから
身体を守るためのプラスのサインなのではないでしょうか。

認知症をもつ方のBPSDというのは
実際に、ご本人にも周囲の方にも困惑と混乱のもとではあるとは思いますが
その症状「だけ」を取り上げて
その症状「だけ」を消そうとして
あれこれ「対策」しても
症状そのものはなかなか「消える」ものではなかったりしませんか?
症状を消そうとして薬を使って
全般的な知的活動や今までできていたADLも低下してしまった
…ということを見聞きしたことはありませんか?

片麻痺をもつ方で
背もたれのないところで座ると
身体が斜めになって座っている方ってとても大勢おられます。
ふだん歩けてはいるけれど身体が傾いて座っている…
こういう時に
座位姿勢が悪いから姿勢を正して座りましょう
というのは、実はあんまり良くないように考えています。
傾いて座っているという見た目のマイナスは
その時点での身体のはたらきの総体としてのあらわれで
そうすることで身体がそれ以上損なわれないように守るために
その姿勢をとっているとしたら…?

あるべき規格ができていないという見方での
マイナスを修正するという考え方ではなくて
現時点をプラスとして肯定したうえで
もっとできることが増える、できかたが良くなるというふうに
プラスにプラスを積み重ねていく
そういう考え方のほうが
身体も受入れてくれるように感じています。

足し算のお話…と2つ前の記事で書いたことの本意は
回復をあきらめて動きの練習よりも現実的にできることを見いだす…という意味ではなくて
(むしろ、維持期と呼ばれる時期こそ、
 少なくとも、身体の調子を整えるということはとても重要だと考えています。
 維持期だから、身体そのものへの対応をしなくてもいいとはとても思えません。)
リハビリをするにあたって大切なことは
できないことを健常と言われる動作との比較でマイナスと見なして対応するか
(望ましい規格からの引き算としての見かた)
とにかく現状をプラス1とみなしたうえで
次はプラス2、その次はプラス3を目指して動きを獲得するための対応をしていくか
(足し算のお話)
視点の違いを明確にするということなのです。

現状の巷の常識では
リハビリ=マイナスの修正
という考え方が主流ですが
それは本当のお話なのかな…ということなのです。
リハビリ=プラスの積み重ね、なのではないのかな
と考えています。

健常と言われている私にだって
筋力や関節可動域の低下、左右差ってあると思います。
(学校で部活やってた時ほどには走れないし、身体も硬くなっています)
でも、リハビリが必要…とは「判定」されてはいません。
だって、40代の平均的な身体能力からどれだけズレているか
ということを検索することは可能かもしれないけれど
平均値からのズレというのが
今の私にどれだけの「意味」をもっているか
…ということのほうが重要ですよね?
もっと言えば、平均値からのズレをなくすことの固有の意味って何なのでしょう?

人間の身体って、とても精妙に、とても強く、はたらくのではないでしょうか。
どれだけ…というのは、人によって違うものだと思います。
スポーツが異なれば、必要な身体のはたらきも変わる
追い求めるものによって、必要性のある種類も程度も異なります

何をどれだけ追い求めるのかは、その人の自由だと思います。
(もちろん、諸般の事情から最低限ここまでは
 …という環境からの要請ということだってあると思います)
でも
自由と同時に選択した責任もある。

その責任は自分で努力していくことだけれど
何をどんなふうに努力していったらいいのか
その道しるべを具体的に示してくれる専門家がいなければ
途方にくれてしまうと思います。
そこがどちらの側も混同してしまって
「リハビリして『もらえない』」
「リハビリ『してやった』
という言葉になってあらわれてしまっているようにも感じています。

その人が努力を積み重ねられるように
その時、その場の、その関係性において
具体的に示すことが専門家のしごとだと思います。
その一部分として、療法士にして『もらう』べきことは、もちろんあるとは思います。

こういうことって
療法士の中でも、たぶん、ごっちゃになっているところだと思いますので
突然に、初めて、リハビリという世界に連れてこられて
いろいろなことが立て続けに起こる体験の中では
患者さん、利用者さんがごっちゃになって受けとめてしまう責任は
むしろ療法士の側にあると言えるのではないでしょうか。

私がこの記事を書いているのは
過去の犯人探しではなくて
(もちろん、反省すべきは反省してそのうえで)
これから先の未来において
今よりも少しでもより良くなるように
そのためにどうしたらいいのだろうか
ということを考えることが大切なのではないかと思うのです。

話がとっちらかってしまいましたが
私の言いたいことをおくみとりいただけますよう…
(本当は、誰が読んでもスッと理解してもらえるように
 書く努力を私がしなくてはいけないのですが…)

















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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。投稿は初めてですが、いつも拝読させて頂いております。ありがとうございます。

>その道しるべを具体的に示してくれる専門家がいなければ途方にくれてしまうと思います

その通りだと思いました。左片マヒ障害2級の43歳の主人(装具&杖で歩行)がおります。倒れてから7年たった今、おざなりになっていたリハビリ(通勤時の歩行とわずかなストレッチが現状です)を、今一度、改めて行うには、どこにどう、指南して頂いたらよいのでしょう・・・。よっしーさんのような作業療法士さんに出会いたいです・・・神奈川在住です。
mk
2010/01/18 12:58
mkさん、コメントありがとうございます。

>どこにどう

そうなんですよね。
たぶん、mkさんのご主人のような方の場合、リハビリを受けられる機会がとても限られてしまうという現状があると思います。

せめて、お身体の状態のチェックと自主トレ指導を3ヶ月に1回ぐらいしてもらえる場があるといいですよね。

現状では厳しいかもしれませんが、現在の通院先に医療相談課があるならそこのソーシャルワーカーや、役所の障害福祉課や介護保険課や地域包括支援センター、保健センターやお住まいの地域の患者会に相談してみるというのはいかがでしょう?
「横浜市総合リハビリテーションセンター」なら相談にのってもらえるかもしれません。(市外の利用も不可能ではないそうです。少なくとも次の相談先を紹介してもらえるかもしれません)

また、選択肢の中に自費での運動指導や代替療法も含めて幅広く検討してみるのも1つの方法だと思います。
患者さん達の口コミは信憑性が高いので、可能でしたら通院時にお尋ねしてみるのもいいかもしれません。
speranza
2010/01/19 22:28
コメントありがとうございました!

>せめて、お身体の状態のチェックと自主トレ指導を3ヶ月に1回ぐらいしてもらえる場があるといいですよね。

本当にそう思います・・・。横浜のリハセンは知っているので、是非聞いてみようかと思います。

「リハビリ」も、「残された機能を最大限に使う」ために行うのか、「麻痺した側を少しでも維持・回復」のために行うのか、現状は(特に主人のように若いと)どこへ行っても前者で取り扱われてしまうようです。
もっぱら皆さんの維持に行かれるのは整骨院どまりなんでしょうか・・・。
きっちりメンテナンスできる方法を模索したいと思います。
今後とも、宜しくお願いします
mk
2010/01/21 15:49
mkさん

横浜リハセンにぜひ相談なさってください。
夫はそちらで高次脳機能障害のリハビリで1年間お世話になりました。
発症し3か月入院してた病院では高次脳機能障害について何一つ教えて頂きませんでした。
高次脳障害と思えるのになにかリハビリ出来ないか?と相談し診察日を予約し、診察を受けてリハビリ出来ることになりました。

話がそれてしまいましたが、お身体のほうのリハビリも診察を受けてそれで「期間限定ですがリハビリをします」と云うことで6カ月受けてた知人もいらっしゃいます。
その方は「初めて麻痺側のリハビリをしてもらった!」と言っておりました。

先日、夫の主治医は「今は麻痺は回復できる!という方向?でいろいろ研究されています。諦めるのは早いですよ!」のような事を云って下さいました。(発症当時入院リハビリしてた病院と違います)
今の通院リハビリの作業療法では殆ど麻痺側の訓練をしてます。
夫の通院リハビリもしばらくしたら終了することになると思いますが、その後も2カ月に一度位は主治医(リハビリ医)の診察を外来で受けられる、とのことで少し安心してます。

病院によって随分対応が違うと思います。
あたってくだけろ!くらいのつもりでお探しになるといいと思います。
ちなみに私たちも神奈川(横浜)在住です。

ひろまま
2010/01/21 18:56
speranzaさん

ごめんなさい。
こういうのを横レスって云うんですよねー。

でも、すこし気になったもので......。
ひろまま
2010/01/21 22:05
ひろままさん

レス、ありがとうございます!
本当に涙ぐんでしまったほど、嬉しかったです!
(speranzaさんには、こちらの場を使わせて頂いてしまい、申し訳ございません
実際に、リハセンにこういった形で「麻痺側の」通院リハに通われている方がいらっしゃるということを知り、すごく力が湧きました!
そうですね、考えているだけではダメですね、もっと、主人の力になれるように、私自身も実行する力を持たないとダメですね!
ひろままさん、本当にありがとうございました。
ひろままさんのご主人様のご回復をお祈りいたします
今後とも何かご存知でしたらご教示頂けますと幸いです。
ありがとうございました!
mk
2010/01/22 11:19
ひろままさん、こういう横レスなら大歓迎です!!

実際の生の声を聞くことができれば、mkさんもおっしゃるとおり、安心もできるし状況もよくわかると思います。
これからもよろしくお願いします!
speranza
2010/01/22 21:47
mkさん、ひろままさんのアドバイスが頂けて良かったですね。ご主人のためにもがんばってください!
speranza
2010/01/22 21:49

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