『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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zoom RSS とにかく歩くように

<<   作成日時 : 2010/03/20 21:16   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 6

そんなふうに言われたことのある人って多いのではないでしょうか。

医師から、あるいは、療法士から

「あとは、とにかく歩くように」

…?

サボッてふて寝して歩けなくなったわけじゃないんですけど…?

脳卒中後遺症をもつ方のリハビリは
「力をつける」ことなんかではなくて
「身体のはたらきを高める」ことなんです。

そのために反復練習は必要ですけれど
ただ、反復しているだけでは練習にはならないどころか
場合によっては、逆効果になってしまうおそれがあります。
(過去の記事に何回も繰り返して書いていますが…)

力をつけるために
たくさん歩くのではなくて
脳の代替回路をつくるために
その代替回路が的確にはたらくように
たくさん歩くことが必要なのです。

若い人には想像することが難しいかもしれないけれど
昔は重いものを持つことが生活の中に当たり前にありました。
井戸の水を運ぶのだって一苦労です。
そしたら、どうしたらラクに持てるのか、運べるのか、工夫します。
だって、やるしかないのだから。
だから、やりかたを工夫する。

甲野善紀先生は的確に端的に言っています。
「昔は重いものをどうしたら軽くもてるか考えた。
 今は筋力強化で重いものをわざわざ重く感じるように運動する。
 同じ重いものを持つにしても全く違う持ち方をしてる。
 身体のはたらきも全く違ってくる。」

こどもが自転車に乗る時に
筋力強化なんてしなくても自転車に乗れるようになります。
自転車を乗るのに必要な筋力は後からついてくるもので
自転車に乗るという動作ができるために必要な動きは
動作そのものからしか学べません。
(その動作のコツ、ポイントというものはあるにせよ)

バレリーナにはバレリーナの
野球選手には野球選手の
マラソン選手にはマラソン選手の
「らしい体型」がありますが
同じ体型になったからといって該当スポーツができるようになるわけではありません。

結果として
該当スポーツが要求する体型になるのです。

脳卒中後遺症をもつ方に
たとえ、非マヒ側であったとしても
筋力強化をするというのは
このあたりが本末転倒になっているのだと思います。

残念ながら
今はまだまだ筋力強化という考え方をする人がとても多いです。
医師も療法士もケアマネも看護師も介護職も…
そしてご本人もご家族も…

でも
そう遠くない将来、きっと、状況は変わってきます。

傷だって消毒しない時代がやってくるし
脳卒中後遺症をもつ方に筋力強化をしない時代がやってくると
確信しています。

だって、論理的に考えても現実的にも答えは現れています。
ただ、その新しいパラダイムを認識しようとするかしないかの違いだけです。

なんだってそうなのだと思うのですが
どのようにするか…ということが1番大事なんだと強く強く思います。
それによって全く違ってくる。
…本当に!

ですから
歩く時には
ただ、歩くのではなくて
感じながら考えながら歩くように練習してみてください。

最初は、すごく疲れると思います。
でも、無理は禁物。
疲れたら休みどき。
だんだん、身体が(たぶん、神経が)疲れにくくなってきますから
身体の声を聴きながら練習なさってみてください。

30分歩く、1q歩く…というのは、あくまでも結果です。
結果として、長い時間、長い距離を歩けるようになるのは良いことですが
それを目的化してしまわないようにしてください。
どのように歩くか…ということを抜きにして
「がんばって」歩くのは、お身体を痛めることになりかねません。

足が重く感じる、つっぱってくる
足の指先が丸まってくる
指や腕や肩がつっぱる
腰が痛い…等を感じたら
それ以上は決して無理して歩き続けないようにしましょう。

特に外歩きに挑戦し始めの時には気をつけて…
調子が良いからと遠出してしまうと
帰ってくる時に辛くなっても休む場所もなかったりして
へとへとになってしまうことがないように…お気をつけいただきたいと思います。











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コメント(6件)

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全くもってその通りだと思います・・・。

「筋力強化!!(#゚Д゚) ゴルァ!!」
マッチョな高齢者を作りたいのかな、とひねくれてしまいたくなります(笑)

僕もよく言っていました。「歩いて下さいね」と。
何のために歩くのか、そこが抜け落ちている上に専門職としては無責任な発言なのかな、と最近思っています。

本来、“歩くために”歩くわけじゃないですし・・・。
(散歩が趣味の人は別ですね!)
510
2010/03/20 22:29
 私は回復期リハビリテーション病院を退院した頃、500mほど歩けるようになっていました。
 自宅から私鉄の駅まで何とか歩ける距離です。
 退院後は電車通勤で2年少し元の職場に勤務して定年退職しました。
 
 退職すると運動不足になるから散歩することにしようと、朝昼夕の3回歩くことにし、無理をしても歩くようにしていたのです。
 1回に歩く距離は500mから1kmとその日の調子に合わせていました。
 しかし退職してから数年後には腰下肢痛が出て戸外を歩くのが辛くなったのです。

 今年は天気の悪い日が多いので、この3ヵ月間は無理をして歩くのを止め、自室内でストレッチを行うようにしています。
 とりあえずは下肢痛がなくなり、腰痛も軽くなり始めているように感じています。

 私達の体は、健常な人と全く異なると言うことを再認識しています。

 >30分歩く、1q歩く…というのは、あくまでも結果です。
 >結果として、長い時間、長い距離を歩けるようになるのは良いことですが
 >それを目的化してしまわないようにしてください。
 >どのように歩くか…ということを抜きにして
 >「がんばって」歩くのは、お身体を痛めることになりかねません。
・・・おっしゃるとおりです。

マサおじさん
2010/03/21 08:05
510さん、コメントありがとうございます。

「とにかく歩くように…」
「とにかく手を使うように…」
そう言われている人って多いんですよね。

本来だったら
「望ましい動きは、こういう動き」
「望ましくない動きは、こういう動き」
「その時にはこうやって対応しましょう」
…というのが、専門家としてのアドバイスなんじゃないかなぁと考えています。

そして、もっと重要なことは、これらの表面的なアドバイスだけを考えるのではなくて、表面的なアドバイスを言わしめるその根拠となっている考え方に私たちはもっと目を向けたほうがいいのではないかということです。

言葉には思考があらわれる…当たり前のことですが、あまりにも軽んじられている…というか、言葉と思考とをぶつ切りにして扱われていることにものすごい抵抗を感じます。

ICIDHの呪縛は深いと感じています。その代表が脳卒中後遺症をもつ方へのたとえ非マヒ側であったとしても筋力強化で維持ないし向上を図るとする考え方です。
ICFは本来私たちがもっていた生活様式と身のこなしにとても馴染む考え方だと思いますが、それらはもう失われつつあるものです。
だからこそ、ICFという言葉は知っていても実際には浸透していない…という現実があるようにも感じています。
speranza
2010/03/21 18:50
マサおじさん、コメントありがとうございます。

よく言われることに
入院中はいいのに退院するととたんにダメになる
それは患者ががんばらないからだ
というような言葉があります。
そして、その言葉と並列に筋力低下原因論、筋力強化必要論が語られます。

私はどうしてもその現象と言葉に違和感を抱かざるを得ませんでした。
現実にがんばっていたのにできなくなる人だってたくさんいます。
施設入所している方でも最初は自立で移乗できていた方が(しかもリハビリを受けているのにもかかわらず)だんだんできなくなってくる方もみてきました。

現実とパラダイムの間に齟齬が生じた時には、現実のほうが正しいに決まっています。
それに、人間の身体も精神もそんなに単純なものじゃないだろうという気持ちもありました。

人間にとってパラダイムの転換というものがどれだけ大きく深い抵抗を生み出すかということを学んできました。
反復学習という同じ努力をまったく異なる視点でおこなうことに行動変容することがどれだけ困難なことかもわかっているつもりです。
けれど、それでもなお言わずにはいられません。

手や腕や足や腰の力をつけることが脳卒中後遺症をもつ方のリハビリではありません。
力は結果としてついてくるものです。

良かれと思って、良くなりたい一心でがんばったのに、そのことが結果としてでも、ご自身のお身体を痛めてしまうことがないように…そのような方が1人でも少なくなるように…そう願っています。

speranza
2010/03/21 18:51
そ〜なんですね!感じやながら、考えながら歩く…ととも難しそうです。
でもやってみます!
病院、よい先生に出会えました!とりあえず、転院する方向で話しを進めたいと思います。
素敵な先生に出会えたようなので、とりあえず一安心。あとは、自分の努力ですね!
みなこた
2010/03/22 11:21
みなこたさん、良かったですね!

心機一転、がんばってください。応援しています!
speranza
2010/03/22 21:07

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