『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

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<<   作成日時 : 2010/03/14 12:59   >>

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そんなことよりもっと大切なことがあるのではないでしょうか。

「もう治らない」
「良くはならない」

それは、過去の方法論で服薬やリハを含めたサービスを提供した結果
だいたい、多くの人はこのような状態になっている
…ということです。

つまり、
方法論が変われば結果だって異なってくる可能性があるし
90%の確率でそう言えることでも
当人が90%に入るのか、10%に入るのかは明言できないはずです。

逆に言えば
「もう治らない」
「良くはならない」
と宣告されたからこそ、その通りになってしまった可能性だって、可能性としては存在します。

医師や療法士がしなくてはならないことは
教科書的によく言われているような予後予測の正確性なんかではないと考えています。

急性期でも回復期でも老健でも訪問でも
病気そのものについて
障がいの特性と対応について
生活するうえでの気をつけるべきこと
リハの基本的な考え方について
もっときちんと説明することのほうがずっとずっと大切で
対象者にとっても家族にとっても有益だと思います。

生まれて初めて
まったくの別世界にひきずりこまれた
本人と家族にとって
劇的な変化に対応しなくてはならないことが山ほどあります。
そのような中で
発症当初におこなわれる医師からの病状説明をきちんと理解できる人がどれだけいるでしょう?

1年前に私の身内が相次いで入院することになった時に
「こういう説明のしかたはわかりやすいな」
「これじゃあ、形だけは説明していてもわかりにくいよな」
と感じることがありました。
浅くてもちょっとは医学の知識がある私でもそう思ったものです。

ちょっと話がそれますが
もし今後(そんな場面はないほうがいいとは思いますが)
医師等から説明を受ける機会があるのならば
必ずメモをとってください。
その場ではなんとなくわかっているようでも
後になるとどうだっけ?ということが往々にしてあるものです。

1番大切なことは
表面的な対応をどうしたらいいのか…ということではなくて
病気そのもの、障がいそのものについての根本的な知識です。

もし、根本的な知識がなければ
表面的な対応が適切かどうか判断できません。
説明されたことがらをうなづきながら聞くことしかできません。
このあたりにインフォームドコンセント(説明と同意)についての形骸化という問題と誤解があると考えています。

長くつき合っていく病気や障がいそのものの根本的な知識が得られないならば
そのうえに積み重ねていくものが適切かどうかの判断も選択もできなくなってしまいます。
「こうしたらいい」という「評判」という名の他人の感情を判断基準にしなくてはならなくなってしまいます。

今、医療保健福祉の現場で
「正しい」と言われていることの
前提条件についてきちんと吟味されているとは言いがたいと感じています。
そして、前提条件について意識を向けて考える人の少なさをも痛切に感じています。

このようなカゲキなことを書いても
(私自身は、カゲキではなくてマトモな意見だと思っていますが)
おそらくは、箸にも棒にもひっかからないような反応をされる専門家は多いと思います。
けれど、絶対に誰かは、ちょっとは手を止めてくれるはず
もしかしたら、大いに賛同してくれる人だっているかもしれない
そう思いながら書いています。

将来どうなるかはわからない
統計的には、このような数字が出ているが
これはあくまでも確率の数字である
病気はこういう病気だから
こういう障がいが出ている
現在のところはこうだが、将来こういう可能性もある
だからこそ、普段はこういうところに気をつけて過ごしなさい
リハビリはこういう方向性でおこないなさい
決してしてはいけないことはこういうこと
状態は変わるから、こういう傾向があったらすぐに相談にきなさい

そんな風に言ってくれる医師や療法士が増えたらどんなにいいでしょう。

これからどうしたらいいか、どうしてはいけないのか
そのための判断根拠を獲得できるようにすることのほうが自立支援だと思います。

それらが適切におこなえないから
身体のはたらきを高めることを抜きにして
「どれだけ歩けるようになったか」「装具なしで歩けるか」などという
目に見えるような「量的向上」のみを
(それはとてもわかりやすくうれしいことではありますが)
職員、本人、家族ともに追い求めるような悪循環が形成されてしまうのではないでしょうか。

そしてこのような思考の風潮は
単にリハの現場だけで起きていることがらではないだろうとも感じています。
もっと根深くはびこっていることなのだろうと思います。
もしかしたら、無自覚にも感受しているからこそ
むしろそれらに背をむけることにより一層積極的になってしまっているのかもしれません。













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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
私は真夏に発症したせいかその年の冬の寒さと身体の硬直感に耐え切れず、寝たきりに近い生活をしてしまい筋肉をすっかり落としました。鬱に近い状態で、しっかり歩けていたのに、この時筋肉を落としてしまった事が今の歩行力の低下の原因になってます。医師から硬直感の説明などなくて、治るものと一言でも言っていただけたら救われたのにと思いました。硬直感は1年ほどでおさまりました。
イボンヌ
2010/03/14 15:55
僕たちは対象者の方の可能性を奪い取る予後予測をしている危険性を常に孕んでいますよね。

もちろん、途方もないような目標は考えものですけども・・・。

とはいえ、僕たちは「良くなった」「良くなっている」方をたくさん見てきました。
やっぱり常に可能性を信じていたいですよね。
510
2010/03/14 22:34
もう良くならない、治らない。そう言われて、そうなる通りになる可能性もある。そう思っていれば、そうなるのかもしれない。
でも、そうじゃない。良くなるだろって思ってれば、可能性は無限に広がると思う。
だけど、思ってただけじゃ良くならない。行動に移さなきゃ。
みなこた
2010/03/15 08:59
イボンヌさん、コメントありがとうございます。

こういうことが起こりうる…ということを事前に教えてもらっていたら心構えもできますよね。
今年の冬は大丈夫でしたか?
speranza
2010/03/15 22:38
510さん、コメントありがとうございます。

>良くなった」「良くなっている」方をたくさん見てきました。
そうなんですよね。
医師や療法士に求められていることは、診断や判断ではなくて具体的に現実的に役に立つこと。診断や判断は役に立てるための手段であって目的ではない…そう考えています。
speranza
2010/03/15 22:41
みなこたさん、コメントありがとうございます。

>思ってただけじゃ良くならない。行動に移さなきゃ。

おっしゃるとおりです。
応援してます!ファイト!!
speranza
2010/03/15 22:43
似たようなことをわたしも考えるのですが・・・

>目に見えるような「量的向上」のみを職員、本人、家族ともに追い求めるような悪循環

を断ち切って良循環に変えていくには、職員、本人、家族にどう関わっていったらよいでしょうか?

当施設はマンパワー不足で一人一人に十分な時間がかけられず、効率的なかかわり方が求められています。非常に悩んでいます。
ぷー
2010/03/26 20:41
ぷーさん、コメントありがとうございます。

この問題は単にリハビリの方法論の問題だけに関わることではないと感じています。
より根本的なパラダイムの転換に関わることほど抵抗は大きく時間がかかると思っています。

パラダイムの転換とそれに伴う方法論の転換によって1番助かるのは、ご本人とご家族です。
逆に言えば、混沌とした状況にあって現実に違和感を抱きやすいのもご本人とご家族です。
その時に、今起こっていることを言語化して伝え、異なる方法論を提示しそのことによって現実が変化する体験をできれば、新たなパラダイムと方法論を受入れる下地ができると考えています。
ただし、全員が全員体験したことを体験したままに受入れられるとは限りません。
それだけ根深い課題だと思うのです。
実践している療法士にしてみたらもっとでしょう。

だからこそ、それらの体験を言語化して伝えていくことによって有志を増やすこと…。
たぶん、ネットの世界は現実の利害関係がないので、新たな提案を受入れやすい素地があると考えています。

このウェブログのような(苦笑)しばしば長文のひたすらクソ真面目なサイトにわざわざ訪問してくださる方は、何か思うことがあるからこそ(そして現実の世界では得られない何かに触れられるからこそ)貴重な時間を割いてこちらにお立ち寄りくださっているのではないかと思うのです。
speranza
2010/03/26 23:28
一方、現実の世界で言語化して伝えるのには勇気がいります。
でも、不思議なもので伝えたい気持ちが切実にあるとチャンスがやってくるのです。
これは本当に不思議なことだと感じています。
そのチャンスをチャンスとして感じられることと、そのチャンスを逃さないように活用することだと思います。

いろいろと書いてきましたが
要するに、時間と労力がかかることを覚悟で一歩ずつ前進するしかないということで…苦笑。

パラダイムの転換は、それがより真実に迫るものであれば、最初は抵抗されてもいずれ必ず受入れられざるをえないものです。
最初は大きな岩を転がすときのように微動だにせずとも、ひとたび転がり始めれば大きなうねりとなって自然と転がり続けるものだと思います。

渡辺慧先生の「生命と自由」という本のはしがきに書かれた一文を紹介します。

『学者先生達の大多数が私に賛成して下さるのには半世紀以上かかるでしょう。あるいは結局未来永劫だれも賛成して下さらないかもしれません。でも書いておきたいと思います。』

この本は1980年に出版されました。
speranza
2010/03/26 23:29
Speranzaさん

そうですか。了解いたしました。

それでやはり、
>目に見えるような「量的向上」のみを職員、本人、家族ともに追い求めるような悪循環を断ち切って良循環に変えていくには、職員、本人、家族にどう関わっていったらよいか?

の答えはよくわからないのですが、何か効果的な方法ってないですか?
ぷー
2010/03/27 18:37
通常のリハビリと同じように、その方の受け入れやすいパターンを使う…ということだと思います。
ただし、良循環には、そんなに易々とは変わらないだろうと思います。

効果的な方法を考えるよりも、まずはつぶされないように細心の注意を払うことのほうが先のように思います。
パラダイム転換の契機を作った先達は皆ものすごい辛酸をなめています。
speranza
2010/03/27 22:16
そうなんですよね、そんなに易々とは変わらないんですよね。それが現実です。
人手が足りないこともあり、日付が変わるまでのサービス残業。良循環に向けて頑張っていると、つぶされないように細心の注意を払うっていう仕事が増えるんです。どう頑張ってもちょこちょこやることしかできないし、ちょこちょこやったって何も変わらないし。
もう疲れました
ぷー
2010/03/30 22:47
ぷーさん、お疲れさまです。
おっしゃること、よくよくよくわかります…。
ほんと、疲れますよね。
身体も疲れるし、頭も疲れるし、心も疲れる…。

でも、そこでぷーさんが得たものは、そこでしか得られなかったのではないでしょうか?
すぐに良循環になるような職場なら、しなくてすむような努力を必死になってされてるのだと思います。
けれど、すぐに良循環になるような職場なら、今までぷーさんが得てきたたくさんのことが得られなかったかもしれないのではないでしょうか。

ユングだって最初はバカにされたそうです。
ハンセン氏病隔離に反対した小笠原登は学会という場で糾弾されました。
ピロリ菌発見者だって不遇の日々を過ごしたそうです。
大多数のわからない人たちは、1歩先ゆく人の足をひっぱるものなのです。まさしくわからないから…。

「人あるところに人なし。人なきところに人あり。」
歴史に名を残さないたくさんの人の人知れずの努力があって
大きなうねりとなって変わるように感じています。

私が自分に言い聞かせていることは、心底どうしようもない時には辞めればいい。でも、いつも利用者の方に「今ががんばりどころ。がんばりましょう。」と言っている当の自分がへばったら利用者の方に言えなくなっちゃう…そう思ってがんばっています。

ただ、お身体には気をつけて…。そう言うことしかできませんが…。

「望みはなくても光はある」
「未来が過去を決定する」
私が好きな呪文です。
speranza
2010/03/31 20:49
それがもう、どうしようもなくなってしまっています。

仕事中に病的な思考制止が起こり、異変を感じました。
臨床心理士のカウンセリングと服薬治療が始まっています。
望みも光もありません。
対象者に「がんばりましょう」って言えないです。
「心底どうしようもない時」だから、もう辞めたほうがいいのかと思うところまで来てしまっています。

つらいもんです。
自分なりにちゃんとにやろうとすると、病気になっちゃうんです。
ぷー
2010/04/05 20:25
ぷーさん、辛いですね…。
お身体もお気持ちも…
そして、ぷーさんが1番辛いことは最後に書かれたことなのでしょうね…。

今より少しでもお身体もお気持ちも休めることができるといいのですが…難しいでしょうか…?
せめて、夜には熟睡できますように…
speranza
2010/04/05 21:56

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