『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…

アクセスカウンタ

zoom RSS 生活歴の活用

<<   作成日時 : 2010/05/21 21:33   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 5

こんなに誤解されているとは思わなかった

たぶん
お年寄りのケアやリハの世界において
「生活歴」の重要性が強調されている割には
実際には生活歴の聴取もないし、また、聴取した生活歴が活用されていないとも思います。

ある雑誌に
「昔、縫い物をしていたから勧めたところ
強い拒否をしていた人が風船バレーに生き生きと参加していた」
だから
生活歴は頭に入れたうえで活動に直結させないほうがいい
…というような趣旨の論文が掲載されていました。

???

生活歴というのは
その方が「何をしていたか」ということではありません。

「何を」
というよりも、むしろ
「どんなふうにしていたか」ということです。

端的に言えば
どんなふうに生きてこられたか
…ということなのです。

今、目の前にいるお年寄りが
どんなふうに、ものごとに応答するか…ということは
過去、どんなふうに、ものごとに応答してきたか…ということと
決して無関係ではあり得ません。

応答のパターンをみて
その方の利益になるように援助するのが
作業療法士の仕事です。

昔、縫い物をしていたから
今、縫い物をしてもらう
…なんて、安易な…思わずそう思ってしまいました。

日々、喪失体験をなんとなく感じていて、
その辛さゆえ直面することを無自覚に回避しているようなお年寄りに
「昔とった杵柄でやってみて」と持ちかけることは
自身の能力低下に直面させ、喪失体験を明確にフィードバックしてしまう危険性すらあります。

その方の能力と困難の把握ができていれば
そんなことは事前に容易に推測できると思うのですが…

「活動」に関する記事は過去にいくつも書いてきましたが
「リハビリだからなにかしましょう」
「リハビリだから何か作りましょう」
さらには
「徘徊しないように何かしてもらいましょう」
などということのマイナス面について
せめてもう少し自覚的であってほしいものだと思います。

「活動の豊かさ」シリーズ
http://yoshiemon.at.webry.info/200801/article_4.html
http://yoshiemon.at.webry.info/200801/article_6.html
http://yoshiemon.at.webry.info/200802/article_1.html

生活歴を活動Activityに活かすということは
本来は作業療法士の得意分野というか
作業療法士の作業療法士たる所以だと思うのですが
活動Activityがもしも単にできること、楽しめること…
というようなレベルで選択されていたり
生活歴が何をしていたか…
というようなレベルで捉えられているとしたら
なんだか哀しくなります。

かつて
特養が措置入所の時代には
ほんとにきめ細やかな生活歴の聴取が為されていました。
今、介護保険の時代になって
かつての良いところが失われてしまったことを本当に残念に思います。

(日本の社会において変革の時代には決まって
 部分否定ではなくて、全否定になってしまうのは何故なんでしょう?
 また、あまりにも社会の根底に流れる思想が
 「何を為したか」に重きが置かれすぎて
 「どんなふうに」があまりにも省みられないのは何故なんでしょう?
 お年寄りのリハやケアの場であらわれる問題は
 実は日本の社会が抱える根幹の問題のひとつの現れ方に過ぎないのではないか
 と思います)














テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 7
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
病院で働いているものです。興味深かく拝見させてもらいました。ですが私にはどうも作業療法士の人のいうことは抽象的でよくわからないというのが日々の実感です。一緒に働いていても本当に医療職?と思うことの方が多いですね。もしかしたら急性期の病院ではあまり役割がないのかもしれませんが。私たちができる限りの医療を提供するので、作業療法士さんたちは、福祉的な側面でいろんなことをしてもらえると、理想的だと思いました。
ジャック
2010/05/29 23:23
OTです。よんでいてなるほどと実感いたしました。私が勤めている老健では、入所時に情報としてある生活歴の欄は空白のことも多く、どんな生活をされてきた方なのかということがよくわからず、家族にもなかなか会えず、困ることもよくあります。
うちの施設では、これから機能訓練はPTにすべてまかせOTは日常生活をみろ、精神機能をみろ、家族をまきこめなどなど、機能訓練でないところで活躍しろといわれてます。今月からPT、Otをはっきりわけてやっていく予定ですが、どう動けばいいのか、かなり迷っており、不安です。いつもこちらのブログを拝見し、ヒントを得ています。今回の生活歴ということもたしかにと思わされる内容がおおく、今後もいろいろ参考にさせていただきたいとおもいます。本当に勉強になります。ありがとうございます
よーピン
2010/05/30 20:43
ジャックさん、コメントありがとうございます。

ですが、私にはジャックさんがコメントしてくださった意図がどうもよく理解できないのですが…

もしも、この記事や活動Activityに関しての記事が抽象的でわかりづらいなら具体的にご質問いただければ具体的にお答えします。

どんな業界のどの職種の人でも、優秀な人もいればそうでない人もいるのは当たり前のことなので、私には自分の知っている世界だけで特定の職種の一般化した判断はできかねます。
(私は、本当にすばらしい医師も看護師も介護士もPTもOTも知っていますが、その反対の場合ももちろん知っています。)

ひとりひとりが唯一固有の人間であるように、職場もそれぞれ唯一固有の職場です。
個々の職場の課題の解決は、個々の職場で具体的現実的に解決していくしかないと考えています。

肝心なことは、唯一絶対の理想などないのだから、その場において何がより適切か…という観点で、より望ましいものを具体的に現実的に積み重ねていく努力なのではないかと考えています。
speranza
2010/05/30 21:41
よーピンさん、コメントありがとうございます。
また、いつもお立ち寄りくださいましてどうもありがとうございます。

老健でのリハのあり方は、施設施設でいろいろだと思います。また同じ老健でも、経過により変化が求められることもあると思います。

大切なことは、変化をおそれず、ただし、自分が今、何をしているのかということを常に自分の中で明確にしておくことだと思います。
(表面的な方法論にとらわれ、本質的に何をしているのか…ということについて無自覚な人が多いようにも感じています。)

自分の中で明確化できてさえいれば、現実に何が起こっているのか…ということを意識化することができ、対応も具体的に試行錯誤できて、その過程の中で発見や得られるものがきっとあると思います。

よーピンさん、ますますお忙しくなるかもしれませんが、がんばってください!
きっと、挑戦したからこそ得られることがあると思います。
応援しています!

直接お会いできなくても、お互い支え合って励まし合って、お互いのためにプラスの方向で交流できたらいいな…と思って記事を書き続けています。
これからもよろしくお願いします!
speranza
2010/05/30 22:04
さっそくのお返事ありがとうございます。
自分が今何をしているか、って自覚大切ですね。
たまに本当に分からなくなることもある気も・・・
またこちらのブログでヒントをいただきながら、新たな挑戦をしていきたいと思います。
コメントありがとうございました
よーぴん
2010/06/01 13:26

コメントする help

ニックネーム
本 文
生活歴の活用 『 Buon Giorno!』 作業療法士Sより…/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる